日本ライティングBlog

口腔の健康が全身の健康にも影響する

今回は口腔の抗菌について詳しく解説していきます。

近年では、口腔の健康が全身の健康にも関わってくることが明らかになってきており、病院における医科と歯科の連携が当たり前に行われるようになってきています。

また、コロナウイルスなどの感染症予防にも口腔の抗菌によるケアは非常に重要です。

ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

先生、口の消毒はわかるけど抗菌ってどういうことですか?
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

そこに違和感を持つとは流石だね。抗菌は菌の増殖を抑制するので、お口の中と相性がすごくいいんだよ!
ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

口の中の細菌は全部なくしたほうがいいんじゃないんですか?
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

普通に考えれば病気の原因である細菌を取り除いた方がいいんだけど、実はそうとも言えないんだ。詳しく解説していこう。

口の中の細菌の基本

口の中なのに抗菌って?と疑問に感じた方もいらっしゃると思います。普通、細菌を除去するためには殺菌や消毒といった言葉をよく聞きますよね。

たしかに特定の細菌が過度に活性化して増殖し、症状が増悪している場合には、活動を抑えるために抗菌薬などで細菌を殺滅することは、症状の改善に繋がります。

しかし、だからといって特に症状が出ていないのに普段から抗菌薬を飲み続けたり、過度な消毒を続けることにはほとんど意味がないどころか悪影響さえ及ぼすことがあります。

細菌は人・物・動物など様々な場所に生息しており、たとえ自分の体内から細菌を除去したとしても、私達の生活から細菌を全て消し去るということは現実的ではありません。

したがって、細菌を生かさず殺さず上手に付き合っていくということがベストな方法ですし、その方法の一つが前回、前々回から解説してきた「抗菌」です。

抗菌/抗ウイルスとは?効果について解説

抗菌商品と消毒薬(アルコールなど)の違いが分かれば、使用する目的で使い分けることができる

例えば、口の中には無害な細菌から虫歯菌として知られるミュータンス菌・歯周病原菌などの有害細菌が存在しています。

これらの細菌によって構成される口腔内細菌叢(こうくうないさいきんそう)は絶妙なバランスの上に成り立ち、外部からの有害な細菌の定着を阻んでいます。

抗菌薬やうがい薬での洗浄により、それらの細菌の数をある程度減らすことは可能ですが、そうするとどうなるでしょうか。(ここでの抗菌薬とは特定の細菌を体内から殺滅する抗生物質のことを指します。)

一見、有害な細菌が除去されることで症状は緩和され、身体には良いように思えます。しかし、この殺菌を過度に行ってしまうと、抗菌薬に感受性のある細菌が死滅し、耐性のある細菌だけが生き残って増殖し、正常な細菌叢(複数の細菌による)のバランスが崩れてしまいます。

具体的には、薬剤耐性のある黒色色素を産生する嫌気性菌(けんきせいきん)や真菌(しんきん)が生存・増殖し、口腔内で舌が真っ黒になる黒毛舌といわれる症状を呈したりすることがあります。

これは、今まで口の中で複数の細菌で保たれていたバランスが崩壊し、カビなどの真菌が口の中に繁殖してしまうことが原因です。

また、腸内にも口腔内細菌叢と同様に腸内フローラと呼ばれる腸内細菌叢が存在します。腸内細菌のバランスが崩れることで、お腹を下しやすくなったりするだけでなく、太りやすくなったり、免疫力が落ちたりします。

このように、私達は細菌と上手に共存しており、一概に細菌を除去すれば全ての問題が解決するというわけではありませんし、時には悪影響にもなるということがわかっていただけたと思います。

ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

先生!私にも細菌とうまく付き合っていくことが、いかに大事かわかってきました!
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

そうですか!それはよかった。
ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

もしかして冬に流行するインフルエンザや最近のコロナウイルスもできるだけ除去しない方が良いということにも、なりますか。
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

とんでもない!上に挙げた例はあくまでそこまで病原性の強くない一般細菌の話で、死に直結するような細菌やウイルスは予防と重症化を防ぐことが重要になってくるんだ。それについて話していこう。
ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

気になるのでぜひ詳しくお願いします。

ウイルス対策

皆さんは風邪をひくとまずどうしますか?

風邪がひどくなったら病院に行って薬をもらって飲む、という方が多いのではないでしょうか。

病院で処方される薬はすぐに身体が楽になるので安心しますよね。しかし、実は風邪は病院で処方される薬によって治っているわけではないのです。

風邪はライノウイルスなどのウイルスによる感染症です。

病院で処方される解熱鎮痛薬・咳止め薬・抗菌薬は風邪の症状を和らげる効果はあっても、風邪のウイルスそのものを退治するわけではありません。

いつも抗菌薬を出してもらって風邪を治している!と主張する患者さんもいるかもしれませんが、抗菌薬にウイルスを殺滅する効果はありません。

抗菌薬はその名の通り、特定の細菌を狙い撃ちして殺す薬なのでウイルスには効果がないのです。それでは、どのようにして私達は風邪を治しているのでしょうか?

それは自分の身体にもともと備わっている免疫力によってウイルスを退治しています。つまり、極端な話をすれば、身体の免疫力さえ高めておけば放っておいても風邪は治るのです。

ただし、年齢・体力・基礎疾患の有無・食生活などは個人差があり、免疫力にも差がありますので油断は禁物です。

自身の免疫がウイルスを退治する前に身体がやられてしまっては元も子もありません。医学が未発達で栄養状態も悪かった時代に風邪で亡くなった人もいるというのは、ウイルスが身体の免疫力に勝ってしまったケースになります。

栄養状態も良く、医学も発達している現代では風邪で亡くなるということはほとんどありませんが、代わりにインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどが猛威をふるっています。

そういった強力なウイルスにはワクチンや抗ウイルス薬を用いて対処します。ワクチンとはウイルスから病原性を取り除いたもので、抗原抗体反応を身体に引き起こし免疫力を高める効果があります。

抗ウイルス薬はワクチンとは違い、ウイルスそのものを殺す薬になります。風邪にもワクチンを打っておけばかからないんじゃないの?と考える方もいると思いますが、風邪のウイルスにワクチンは存在しません。

その理由として、風邪の原因となるウイルスには多種多様なタイプが存在し、変異を繰り返していくのでワクチンの製造が間に合わないためです。

また、インフルエンザワクチンを打ってもインフルエンザにかかってしまったというのはワクチンに含まれるインフルエンザウイルスの型と実際に罹患したウイルスの型が違うためです。

コロナウイルスも同様で、コロナウイルスワクチンを打ったとしてもその型が違えば感染してしまう可能性があります。

したがって、まずはウイルスによる感染症予防の基本として、「ウイルスを体内に取り込まないこと」「身体の免疫力を上げること」が重要となります。

ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

今まで病院の薬は市販薬とは違うから風邪がすぐ治るんだって思ってました…
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

ははは、確かに病院で処方される薬は市販のものより強力なこともあるから、症状がすぐに楽になるよね。
ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

それじゃあ免疫力を上げるには具体的に何をすればいいんですか?
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

そこが気になるところだね!今回は口腔から免疫力を上げてウイルスを予防する方法を紹介しよう。

免疫アップのためにはどのような口腔ケアがおすすめか?免疫力アップのためにはまず病気にならないことが重要です。

免疫力が低下することと病気になるということはどちらが先かということは難しいのですが、それらは相互に影響を及ぼし合っています。

例えば、糖尿病と歯周病は密接に関係していることが最近の研究からわかっており、一方が改善するともう一方も改善が見られることがあります。

糖尿病になると臓器が損傷したり、免疫力が低下し病気にかかりやすくなったりします。また、虫歯を放置すると、虫歯菌であるミュータンス菌が感染性心内膜炎という病気を引き起こしたりすることもあります。

歯周病を放置すると、動脈硬化やメタボリックシンドローム、高血圧などの全身疾患を引き起こし、全身の免疫力の低下に繋がることもあります。

更に、全身麻酔科の手術を行う患者に対して術前術後の歯科治療や口腔ケアの実施が、術後誤嚥性肺炎の予防や入院期間の短縮に繋がっています。

したがって、口腔内環境を清潔に保つことが全身の健康を守るといっても過言ではありません。

虫歯や歯周病の原因はミュータンス菌、ポルフィロモナスジンジバリスなどと一般的には言われていますが、実は細菌だけが原因で起こるもののではないのです。

虫歯や歯周病といった病気は多因子疾患と呼ばれ、様々な要因が相互に作用しあって起こる病気に該当します。

したがって、個人差が多く、治療しても病気が治る確率や再発する確率などは人によって様々です。

子供の頃、よく虫歯になりやすい人は周囲にいませんでしたでしょうか?それがこの個人差による発症の典型例になります。

そこで、予防歯学に登場する考え方として、カイスの輪というものがあります。これは病気が3つの要素が満たされたときに発症しやすいため、要素ごとに対処して病気の発生を予防するために用いるモデルとなります。

その3つとは宿主因子、病原因子、環境因子になります。

実は、この考え方は予防歯学のみならず通常の全身疾患の予防についても同じように適用することができますが、今回は歯科分野についてそれぞれの要素を詳しく見ていきましょう。

宿主因子

これは宿主の歯の強さ、唾液の分泌量・性質、歯並び、年齢といった要素です。歯はその表面からエナメル質、象牙質、セメント質、歯髄(歯の神経)で構成されています。

虫歯はエナメル質が虫歯菌によって溶かされることから始まり、象牙質、セメント質、歯髄と進行していき、最終的には歯髄に虫歯菌が侵されて歯が死んでしまうということになります。

それでは、歯のエナメル質を強くするためにはどうすればよいのでしょうか?歯のエナメル質を強化するものとして、フッ素が有効であるとされています。

フッ素は歯の主成分であるハイドロキシアパタイトと呼ばれる成分に作用し、フルオロアパタイトを形成し、耐酸性能を獲得します。

虫歯は虫歯菌が酸を産生することによって起こるので、その酸への抵抗性を持っていれば虫歯になりにくくなります。

歯科医院でフッ素を歯に塗布してもらうという方法もありますが、コロナ禍の現在では歯科医院に定期的に通うことも困難です。

しかし、最近ではフッ素が1450ppm程配合された歯磨き粉が売られていますので、日常の歯磨きにはそうした歯磨き粉を用いるのがよいでしょう。

また、唾液には酸の緩衝作用がありますので、唾液分泌が活発であれば活発であるほど口腔内が酸性になって虫歯になりやすい環境を改善する効果があります。

顎をマッサージしたりガムを噛んだりすることで唾液の分泌を促進することができますので、手軽な予防方法と言えるでしょう。

ただし、ガムは普通の砂糖入りのものではなく、キシリトール配合のものをおすすめします。
というのも、キシリトールは虫歯菌に取り込まれることで、虫歯菌の酸産生を阻害したり、虫歯菌自体を弱体化させることが可能です。

病原因子

これは、口の中に存在し、口腔内または全身に悪影響を及ぼす細菌といった要素です。虫歯菌であればミュータンス菌、歯周病原菌であればレッドコンプレックスと呼ばれる3種類の細菌(Porphyromonas gingivalis, Treponema denticola, Tannerella forsythia)が有名です。

虫歯や歯周病は細菌による感染症ですので、これらの細菌がなければ病気になることはありません。

実際に虫歯に一度もなったことのない人というのはミュータンス菌などの酸産生菌が口腔内にほとんどいないか増殖が抑えられている状態であると考えられます。

こうした細菌は実はリステリンなどのマウスウォッシュ剤では除去することができません。

ミュータンス菌では、歯の表面に付着して粘液状のバイオフィルムを形成することから、うがいや強力なマウスウォッシュ剤でも落としきることができませんので、歯ブラシによるブラッシングが必要となります。

環境因子

これは、間食が多い、長時間の食事をしている、酸性飲料をよく飲むといった個人の環境に関する要素です。

ミュータンス菌は食事後すぐに、食事に含まれる栄養分を吸収し、酸を産生し始めます。それにより、プラーク内のphは歯のエナメル質が溶け出す5.5以下にすぐ達し、それが正常な状態に戻るまで30分程度かかります。

したがって、だらだら食べや間食が多い人では、酸によってそれだけ歯が溶かされる時間が長いということになりますので注意が必要です。

これも予防法としては、間食をしない、炭酸水・ジュースなどの酸性飲料を避ける、食事後にはすぐに歯磨きをするといったことが有効となります。

ウイルスについて知りたい母親

受験生の子をもつ母親

先生!いままで知らなかった口の抗菌と免疫についてよくわかりました!まとめをお願いします。
ウイルスについて正しい情報を教えたい先生

ウイルスの先生

普段はあまり意識しないことかもしれないので、それはよかったです。口腔の健康は口だけにはとどまらないことが近年の研究で明らかになっています。

まとめ

例えば、歯周病は感染性心内膜炎・妊娠性歯肉炎・糖尿病・動脈硬化・メタボリックシンドローム・高血圧・誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などの全身疾患との関係が深いと言われています。

お口の健康は全身の健康の源と言っても過言ではありません。口腔内から免疫力をアップさせる方法をまとめると以下の通りになります。

  • 虫歯や歯周病をそのままにせず、歯科医院で治療する。
  • 普段から食後の歯磨きを心掛ける。
  • 睡眠中は唾液の分泌が少なくなるので寝る前に歯磨きしておく。
  • 高濃度フッ素含有の歯磨き粉を使用する。
  • キシリトール配合のガムを噛む。
  • 間食やだらだら食べをしない。
  • phの低い飲み物(炭酸水・ワイン・ジュース)などはできるだけ控える。

是非本記事を参考に、口腔ケアを実施してみてください。やることは多いように思えますが、全部をやらなければならないというわけではありません。

しかし、やればやるほど口腔内環境を清潔に保ち身体の免疫力を高めることができますので、できることから取り組んでいきましょう。

   
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