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車好きなエンジニア集団の日本ライティングスタッフが車のカスタムについてまとめている記事です。

鉛筆硬度とは?塗装・コーティングの硬さについて解説

コーティング2024.04.01

鉛筆硬度とは?塗装・コーティングの硬さについて解説

車のコーティング剤を選ぶときに気になるのが、コーティングの硬さです。「鉛筆硬度9H」や「ハイモースコーティング」などと書かれているコーティング剤を見て、どの程度硬いのかイメージしづらい方もいるでしょう。また、硬度が高いコーティング剤を使ってコーティングを終えたからと言って、車の傷を完全に防げない点にも注意が必要です。

この記事は車のコーティング硬度である2つの指標、および各コーティング硬度の硬さの基準や、コーティング剤の選び方について解説します。車のコーティングを考えている方は、この記事を参考にしてください。

車のコーティング硬度の種類

車のコーティング硬度とは、コーティング被膜の硬さを表します。コーティング硬度は大きく2種類に分けられるため、それぞれの表記や基準を押さえておくとよいでしょう。

ここでは、車のコーティング硬度の種類について紹介します。

モース硬度

モース硬度とは、宝石などの鉱物を基準として硬度を表す指標です。10段階に分けられており、モース硬度1が最も柔らかく、モース硬度10が最も硬い段階です。各段階では、硬度の目安となる鉱物の種類・傷がつく目安が定められています。

具体的な指標は以下の通りです。

段階 物質の例 傷がつく目安
1 滑石 人間の爪で簡単に傷がつく
2 石膏 人間の爪で傷つけられる
3 方解石、アルミニウム 10円玉でこすると傷がつく
4 プラチナ、鉄 ナイフの刃で簡単に傷がつく
5 黒曜石、人間の骨、ガラス ナイフの刃で傷がつく
6 ラピスラズリ、人間の歯(エナメル質) ナイフの刃では傷つけられない
7 水晶 鋼のヤスリで傷がつく
8 トパーズ 鋼のヤスリで傷がつかない
9 サファイア、コランダム ダイヤモンド以外の宝石で傷がつく
10 ダイヤモンド 地球上の鉱物の中で最も硬い

モース硬度が採用されているコーティングには「ハイモースコーティング」があります。ハイモースコーティングは、モース硬度6の硬いコーティングです。

鉛筆硬度

鉛筆硬度とは、鉛筆芯の硬さを基準として硬度を表す指標です。

鉛筆の芯の硬さには、以下の17種類があります。

6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9H

最も柔らかい芯は6B、最も硬い芯は9Hです。つまり、車のコーティングで「鉛筆硬度9H」と表記されていれば、鉛筆硬度の指標においては最も硬いコーティングであると判断できます。

ただし、実際の鉛筆の芯を思い浮かべると分かるように、たとえ最も硬い9Hの鉛筆であっても、人の力を加えることで芯は折れてしまいます。鉛筆硬度9Hのコーティングを選択した場合であっても、まったく塗面に傷がつかないというわけではありません。

鉛筆硬度9Hはどの程度の硬さ?

鉛筆硬度の中で最も硬いのが9Hであることから、「鉛筆硬度9H」と表記されていると、コーティングの中でも特に硬い製品であると考えがちです。

しかし、鉛筆の芯と鉄や水晶を比較すると圧倒的に鉄が硬いという点からも分かるように、鉛筆硬度はモース硬度よりも柔らかめの硬度幅です。鉛筆硬度9Hはモース硬度に当てはめると5程度であるため、「鉛筆硬度9H=モース硬度6より硬い」と誤解しないようにしましょう。

また、鉛筆硬度やモース硬度が表すのは、コーティング被膜単体を結晶化させて測定した硬度です。車の塗装面に形成される被膜はコーティング被膜単体よりも硬度に劣るため、実際にコーティングするときには、メーカーが表記する硬度基準よりも柔らかくなります。

車の塗膜硬度を上げるには、多重層コーティングで被膜部分を厚くするのが有効です。

国産車の塗装の硬さ

一般的に、国産車の塗装の硬さは約2Hです。

車に鉛筆硬度9Hのコーティングを1層塗ると、硬度を1H程度強化できます。つまり、もともと約2Hである国産車の塗装を9Hまで強化したい場合は、9Hのコーティングを7層重ねる必要があります。

ただし、通常のコーティングは重ね塗りによってひび割れを起こす可能性があることから、重ね塗りには2~3層までしか対応できません。車のコーティング被膜を鉛筆硬度9Hまで強化したいときには、最大10層の重ね塗りに対応できる専用のコーティング剤を利用するのがよいでしょう。

一般的なコーティングの鉛筆硬度

車のコーティングにはさまざまな種類があり、それぞれで特徴や硬度が異なります。

一般的なコーティング剤であるガラスコーティングとセラミックコーティングの鉛筆硬度は、以下の通りです。

鉛筆硬度 多重層の重ね塗り
ガラスコーティング 2H~9H できない
セラミックコーティング 9H できる

ガラスコーティングはコーティング被膜単体では鉛筆硬度2H~9Hですが、実際に塗装した際には塗装面が非常に薄いことから、表記よりも硬度が下がります。また、重ね塗りによって硬度を上げると熱による伸縮でひび割れ・剥離を引き起こすため、多重層の重ね塗りはできません。

対して、セラミックコーティングはガラスコーティングよりも強度が高いコーティングとして知られています。多重層の重ね塗りが可能であり、鉛筆硬度9Hのコーティングを実現できます。

セラミックコーティングは、コーティング硬度の高さ・傷のつきにくさという点ではトップクラスであると言えるでしょう。

ガラスコーティングとは?メリット・デメリットや施工の注意点を解説

鉛筆硬度9Hのコーティングは傷つかない?

鉛筆硬度9Hのコーティング被膜は傷がつきにくいものの、まったく傷がつかないわけではありません。

車のコーティングは、硬度が高ければ高いほど傷がつきにくくなります。しかし、車表面の傷の原因となる鉄粉・砂利などはコーティング被膜の鉛筆硬度9Hよりも硬いため、スクラッチ傷を防ぐのは不可能です。

また、鋭利な金属片などでコーティング被膜を擦れば、当然傷跡がつきます。さらに、硬度が高いコーティングはひび割れが起こりやすいというデメリットもあります。

洗車機を利用したお手入れは特に傷がつきやすく、鉛筆硬度9Hのコーティングを施していても傷ついてしまうケースがほとんどです。コーティングしていない部分と比較すれば傷は目立ちにくくなるものの、コーティング部分にも傷は入ります。

「鉛筆硬度9Hのコーティングをしたら傷の心配はないだろう」と考える人も少なくありませんが、傷がつかないわけではないという点を押さえておきましょう。

車のコーティングの良し悪しは硬さだけではない

「車のコーティング=ボディ表面を保護する役割を持つ」という印象から、コーティング剤は硬度が高ければ高いほど品質がよいと判断する人は多いでしょう。しかし、コーティングの良し悪しは硬度だけでは決まりません。

硬度が高いコーティングは確かに傷がつきにくくなりますが、傷や変形を完全に防ぐ効果は得られません。最も硬い鉱物として知られるダイヤモンドであっても工具で衝撃を加えれば割れてしまうように、鉛筆硬度9Hのコーティングを施していても傷のリスクはつきものです。

また、硬度強化のためにコーティングを重ねて厚みを出すと、塗膜のひび割れ・剥離が起こりやすくなるというデメリットもあります。重ね塗りによるデメリットを軽減するには、作業者の高いコーティング技術が求められます。

愛車のコーティングをする際は、硬度が高いコーティングのメリット・デメリットの両方を理解した上で、バランスを考えながら施工方法を選択するのがおすすめです。傷のつきにくさはもちろん、下地塗装との相性がよいか、基材の熱伸縮に耐えられるかなどの点にも注目してコーティング剤を検討しましょう。

まとめ

車のコーティング硬度はほとんどがモース硬度と鉛筆硬度を指標としています。いわゆる「ハイモースコーティング」はモース硬度6で、これはラピスラズリと同等です。また、鉛筆硬度の中でも最も硬い9Hのコーティングは、モース硬度5程度の硬さがあります。

ただし、コーティング剤の硬度が高いと傷がつきにくくなるのは確かなものの、必ずしも傷がつかなくなるわけではありません。また、硬度を上げるためにコーティング剤を重ね塗りすると、塗膜のひび割れや剥離が起こりやすくなるというデメリットもあります。

車に雨汚れが付着する原因|雨汚れを取り除く方法も解説

コーティング2024.03.27

車に雨汚れが付着する原因|雨汚れを取り除く方法も解説

愛車が雨に濡れた後、ボディにいくつもウロコのような雨汚れが付いていたという経験をされた方もいるでしょう。雨が降った後に洗車をせず放置すると、雨に含まれているミネラル分や黄砂・花粉などが車に付着した状態で乾燥し、表面に雨汚れとして残ります。特に花粉や黄砂の時期は車に汚れが付着しやすく、放置すると塗装面まで侵食する可能性があるため、対策が必要です。

この記事では車に雨汚れ・雨シミが付着する原因や、付いた雨汚れを取り除く方法、雨汚れから愛車を守る方法を解説します。

車に雨汚れ・雨シミが付着する原因

車に付着する雨汚れや雨シミの主な原因は、水に含まれるミネラル分や酸化物質などの不純物が車のボディに付着したまま残ることにあります。雨汚れや雨シミを長期間放置すると、元の状態に戻すのが難しくなるため注意が必要です。

水に含まれる不純物が車のボディに残りやすくなる原因を、詳しく解説します。

雨が降った後に洗車していないため

雨が降った後に洗車をせずに放置すると、雨に含まれる成分が残って雨汚れや雨シミができやすくなります。雨には、酸化物質やミネラル成分が含まれているほか、季節によって黄砂や花粉などが混じっていることが特徴です。乾燥すると雨の中の物質が塗装面にこびりつき、白いうろこ状の汚れになります。

また、花粉の中に含まれているペクチンは車の塗料を侵食するため、一度乾くと洗っても簡単に落ちず、塗料のはげ落ちの原因にもなる点に注意が必要です。雨に含まれる成分の固着を防ぐには、こまめに洗車することが重要です。

洗車に井戸水を使用しているため

洗車に井戸水を使用している場合は、井戸水に含まれるミネラル成分が付着して白いウロコ状の汚れが付着しやすくなります。井戸水はミネラル成分の含有量が多く、洗車後にしっかり拭き取らないとシミになります。

井戸水を使った洗車はエコで経済的ですが、車の汚れやダメージにつながるため避けたほうがいいでしょう。

炎天下で洗車しているため

炎天下での洗車は、水分が蒸発しやすく水道水に含まれるカルキやカルシウムなどの成分が固着しやすくなります。水道水は井戸水に比べてミネラル成分の含有量が少ないものの、拭き上げをする前に蒸散してしまうとシミの原因になります。

特にボディカラーが濃い色の車は、塗装面が高温になりやすく水分の蒸発スピードが速いため注意しましょう。黒色の車の場合、炎天下だと塗装面の温度は80℃近くになる場合があります。

夏場の洗車は、気温が高い時間帯を避けたり日陰に移動したりといった工夫が必要です。

車に付着する雨汚れ・雨シミの種類

車に付着する雨汚れや雨シミには、「イオンデポジット」「ウォータースポット」の2種類があります。

それぞれの特徴は、以下の通りです。

イオンデポジット 雨や洗車の水滴が乾いて残った水垢によるシミです。車のボディに付着しやすく、一度付着すると通常の洗車で取り除くことは難しくなります。
ウォータースポット 塗装の内部にまで水垢やシミが浸透し、塗装面に小さなくぼみができる現象です。水滴によるレンズ効果で、ボディが焼けてくぼみができる場合もあります。

車の塗装面にイオンデポジットやウォータースポットができると、塗装面の光沢が半減してくすんで見える原因になります。雨汚れや雨シミに気が付いたら、状態が悪化しないように早めに対処しましょう。

車に付着した雨汚れ・雨シミを取り除く3つの方法

車に付着した雨汚れや雨シミは、度合いによって取り除く方法が異なります。軽い雨汚れや雨シミであれば、普段使っている洗剤できれいに仕上げることが可能です。固着した汚れは、専用のクリーナーや研磨剤を使う必要があります。

大切な車を美しい状態で長く乗り続けるために、雨汚れや雨シミを取り除く方法をチェックしておきましょう。

中性洗剤で洗車する

砂ぼこり・花粉を含む雨汚れや軽い雨シミは、中性のカーシャンプーで洗車すればほとんど取り除けます。カーシャンプーは泡のきめが細かいため、ボディを傷付けずに洗えます。サビを防ぐ防腐剤やコーティング効果のある成分が含まれていることも特徴です。

ボディ全体に水をかけ、カーシャンプーを付けたスポンジやクロスで優しくこすります。硬いたわしや研磨剤入りのスポンジは、ボディに傷が付く原因となるので厳禁です。

台所用洗剤も同じ中性のため水垢汚れを落とせますが、界面活性剤の濃度が高く樹脂やゴムの部分を劣化させるので、洗車への使用は避けましょう。

専用クリーナーで除去する

専用のクリーナーや除去剤を使うと、中性洗剤では落とせない初期段階のイオンデポジットを取り除けます。専用クリーナーを使う場合は、まずカーシャンプーで汚れを落として水分を拭き取っておきましょう。

専用クリーナーで除去する手順は、下記の通りです。

1 イオンデポジットがある部分に専用クリーナーを塗布する
2 商品説明に記載された放置時間が経過したら水を含ませたクロスで拭き取る
3 しっかり水で洗い流す
4 乾いたクロスで水気を拭き取る

ボディへのダメージを避けるために、しっかり水で洗い流すのがポイントです。初めて使用する場合は、目立たない部分に塗布して適応性を確認しましょう。

コンパウンドでボディを磨く

ウォータースポットまで進行した汚れは、コンパウンドで磨くのが効果的です。コンパウンドでウォータースポットの凹凸部分をならすことで、クレーター状の穴をなめらかにできます。

コンパウンドを使う場合は、専用クリーナー使用時と同様にカーシャンプーで汚れを落として水分を拭き取っておきましょう。

コンパウンドでボディを磨く手順は、下記の通りです。

1 摩擦熱を防ぐためにスポンジを水で濡らす
2 スポンジにコンパウンドを適量取る
3 スポンジをウォータースポットに当てて均等に塗りながらスポンジで磨く
4 クロスでコンパウンドを拭き取る

ボディが熱を持った状態でコンパウンドを使うと塗装面にダメージを与える可能性があるため、日が当たらない場所で作業をしましょう。

雨汚れ・雨シミから愛車を守る対策

雨汚れや雨シミから愛車を守るには、できるだけ雨に当てないことが大切です。また、雨に濡れたらできるだけ早いタイミングで洗車をしましょう。

車の保管方法の見直しや汚れの付着を防ぐ対策も効果的です。雨汚れや雨シミから車を守るための対策を2つ解説します。

屋根付きの駐車場を利用する

屋根付きの駐車場の利用により、車が雨に濡れる頻度を減らせます。カーポートよりも、横からの雨も防げる四方を囲まれたガレージタイプがおすすめです。

こまめに洗車できれば屋外の駐車場でも問題ありませんが、手間や時間がかかるためイオンデポジットを完全に防ぐのは難しいでしょう。一方、屋根付きの駐車場があれば、洗車やメンテナンスにかかる手間と時間を最小限にできます。

駐車場の環境を整えることが難しい場合は、車体カバーで覆って雨対策をしましょう。

ボディコーティングを実施する

ボディコーティングを実施すると塗装面に薄く強固な被膜が形成され、雨汚れや雨シミを防いでくれるため、車のお手入れをしやすくなるのがメリットです。また、小傷の防止にもつながります。

コーティング剤とスポンジ、拭き上げ用のクロスがあれば、自分でもボディコーティングの実施が可能です。汚れの付着を防ぐ場合は、樹脂系コーティング・油脂系コーティング剤よりガラスコーティングのほうが適しています。

被膜の表面硬化には、コーティング剤の塗り込みと拭き取りが終わってから数時間から1日程度かかります。被膜の表面硬化が完了するまでは、ボディが雨や水に濡れないように注意しましょう。

ボディコーティング中の天気が心配な人やより美しく仕上げたい人は、専門店や業者に施工を依頼するのも1つの方法です。

まとめ

車に雨汚れや雨シミが付着した場合、表面に軽く付着している場合は中性のカーシャンプーで洗車すれば取れますが、固着している場合は専用のクリーナーを使いましょう。塗装内部にまで水垢やシミが浸透し、ウォータースポットになっている場合はコンパウンドで磨いて汚れを落としてください。

雨汚れや雨シミから愛車を守りたい方は、屋根付きの駐車場に車を停め、ボディコーティングを施すのがおすすめです。特に汚れの付着を防ぐ場合はガラスコーティングを使ったボディコーティングが効果的です。

光沢ポリマーとは?メリットデメリットやガラスコーティングとの違い

コーティング2024.03.26

光沢ポリマーとは?メリットデメリットやガラスコーティングとの違い

愛車を汚れや傷から守りたいときは、コーティングするのがおすすめです。しかし、コーティングと一言に言っても、光沢ポリマー(ポリマーコーティング)やガラスコーティングなど多様な種類があります。

当記事では、光沢ポリマーとは何か、ポリマーコーティングにはどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。併せてガラスコーティングの特徴やメリット・デメリット、それぞれの違いについても解説するので、コーティング方法で迷っている方はぜひ参考にしてください。

光沢ポリマーとは?ポリマーコーティングの特徴

車をコーティングすると、ボディにツヤや光沢が生まれ、きれいな外観を長く保てるようになります。カーコーティングにはいくつかの種類があり、中でも安価で手軽にできるのが光沢ポリマーです。

光沢ポリマーは、フッ素やシリコンを含む「ポリマー」を車の塗装の上から塗布することで被膜を形成してツヤをだすもので、ポリマーコーティングとも呼ばれます。ほかに、フッ素コーティングや樹脂コーティングと呼ぶケースも少なくありません。

カーワックスよりも被膜が強く長持ちで、塗装面に小傷があってもコーティングによって目立たなくなります。ツヤはワックスやガラスコーティングのような強い光沢ではなく、柔らかく上品な印象です。

光沢ポリマー(ポリマーコーティング)のメリット

上品な光沢や小傷を目立たなくする点以外では、ポリマーコーティングの大きなメリットとして、比較的安く施工できる点が挙げられます。コーティング専門店にお願いしても、数千円~数万円でできるケースがほとんどです。

ガソリンスタンドやカー用品店で施工を請け負っているところも多く、予算や立地などを踏まえて自分にあった店舗を選びやすい点もメリットと言えるでしょう。多少の知識は必要ですが、カー用品店で販売されているコーティング剤を購入すれば、自分でも施工できます。

カーワックスより持続期間が長い点も、ポリマーコーティングのメリットです。カーワックスは長くて数週間程度しか持ちませんが、ポリマーコーティングなら3~6か月ほど効果が持続します。カーワックスのように雨の中を運転したら流れ落ちるといった心配もありません。

光沢ポリマー(ポリマーコーティング)のデメリット

デメリットとしては、ガラスコーティングと比べると持続期間が短い点が挙げられます。3~6か月経ったら効果が落ちるので、再施工が必要です。

また、被膜が柔らかいため、小傷を目立たなくできても傷を防ぐ効果はあまり高くありません。熱に弱いため、夏の炎天下に放置しているとコーティングの劣化が進みやすい点もデメリットと言えます。ポリマーコーティングを施した車は、なるべく屋内駐車することが望ましいでしょう。

コーティングが劣化した部分を放置しているとこびりついてしまう場合があり、その際は洗車して取り除く必要があります。洗車時は傷がつくのを避けるために、洗車機は避けて手洗いしたほうが安心です。

ガラスコーティングの特徴

ガラスコーティングは、ポリマーコーティングの後に生まれた技術です。ガラス成分を含んだコーティング剤を塗布することで強い被膜を形成し、より耐久性が高く性能も優れたコーティング方法として人気が出ました。主成分はポリシラザンなどのガラス成分で、車に塗布すると強い光沢・ツヤを与えます。

なお、ガラスコーティングのほかに「ガラス系コーティング」がありますが、両者は同じではありません。ガラス系コーティングは樹脂成分の中にガラス成分を混ぜたもので、いわばガラスコーティングとポリマーコーティングの中間的存在です。

ポリマーコーティングよりは耐久性がありますが、ガラスコーティングほど性能は高くないので、間違えないようにしましょう。

ガラスコーティングのメリット

ガラスコーティングの大きなメリットは、長持ちする点です。平均すれば3~5年ほど持ち、使用状況によっては10年ほど持つケースもあります。

ガラス独特のキラキラした光沢・ツヤが特徴で、シミや汚れがついた車でもガラスコーティングすれば新車かと思うような輝きを発揮します。

撥水性が高く、水で洗うと表面に付着したほこりや汚れが簡単に洗い流せる点もメリットです。洗車が楽になり、作業にかかる時間も短くなるでしょう。汚れがつきにくくなるので、一度施工すればメンテナンスの手間が大幅に省けます。

車を売却する際に、査定額が高くなる可能性がある点も見逃せません。売却時の査定は、走行距離やメンテナンス記録のほか、車のきれいさも重要です。ガラスコーティングした車は硬い被膜によって塗装の劣化や色褪せを防止し、傷もつきにくくなります。美しい外観が保てるため、査定の際にプラスに働きます。

ガラスコーティングのデメリット

ガラスコーティングのデメリットは、施工に費用と時間がかかる点です。ポリマーコーティングのように市販のコーティング剤を買って、自分で施工することは基本的にできません。美しくコーティングするためには、技術や知識だけでなく整備された施工環境も必要なためです。

車種や店舗にもよりますが、専門店に依頼すると料金が10万円を超える場合もあります。ただし、一度施工すれば数年は持つので、長いスパンで考えればコスパは低くないでしょう。

また、ガラスコーティングの施工には丁寧な下地処理の作業が必要なため、時間がかかります。通常、施工には数日かかり、終わるまでは車に乗れません。代車を用意している業者もあるので、通勤や買い物で車が必要な方は依頼する前に確かめるとよいでしょう。

ガラスコーティングのメリットとデメリットとは?

ガラスコーティングとは?メリット・デメリットや施工の注意点を解説

ポリマーコーティングとガラスコーティングの違い

光沢ポリマーとガラスコーティングには、使用するコーティング剤の成分や効果、施工時間などさまざまな点で違いがあります。以下は、主な違いをまとめた表です。

項目 光沢ポリマー ガラスコーティング
主成分 フッ素やシリコンなどのポリマー ポリシラザンなどのガラス成分
持続期間 3~6か月ほど 3~5年ほど
10年持つケースもある
費用 数千~数万円 数万~10万円
DIY可能か 市販のコーティング剤を購入してできる 施工技術と整った環境が必要なため難しい
光沢感 落ち着いたツヤ 強いツヤ
その他 すでについている傷を目立たなくする 耐熱性や耐紫外線に優れ、塗装の劣化を防ぐ

ポリマーコーティングとガラスコーティングの大きな違いは、費用と効果の2点です。求めるコーティング効果を考え、費用とのバランスを考えて選ぶとよいでしょう。

安価にコーティングしたいならポリマーコーティングがおすすめ

ポリマーコーティングが向いているのは、以下のような方です。

・あまり施工費用をかけたくない
・これまでコーティングをしたことがなく試してみたい
・車いじりが好きでこまめな洗車やメンテナンスが苦痛ではない

ポリマーコーティングは安価でできるので、コーティング初心者でも手軽に試せます。車にあまりコストをかけたくない方にもおすすめです。また、自分で施工できるので、車いじりが好きな方にも向いているでしょう。

一方、あまりメンテナンスの手間をかけたくない方は、ガラスコーティングのほうが向いています。ガラスコーティングは数年単位で持つので、こまめに再施工する必要はありません。コーティング施工後は、撥水効果でボディに付着した汚れが落ちやすくなるため洗車が楽になります。

まとめ

光沢ポリマーとは、フッ素やシリコンが含まれた「ポリマー」を使用するコーティング方法の1種で、ポリマーコーティングと呼ばれるケースも少なくありません。市販のコーティング剤を購入して自分でDIYでき、安価にコーティングを済ませられるのが魅力の1つです。

ポリマーコーティングは落ち着いた光沢感のある仕上がりになる一方で、ガラスコーティングはより強い光沢感をもたらします。また、光沢ポリマーよりも効果の持続時間が長いことが特徴です。その分コストもかかる傾向にあるため、求める効果や価格を確認して、どちらのコーティングを実施するか決めるとよいでしょう。

車の艶出し方法を解説!DIYする際の注意点や対応しているお店は?

コーティング2024.03.25

車の艶出し方法を解説!DIYする際の注意点や対応しているお店は?

車の艶出し方法としては、大きく分けてカーワックスとボディコーティングの2種類があります。それぞれ異なる良さがあるため、これから車の艶出しをしたいと考えている方は、双方の特徴をしっかりと理解しておくことが大切です。

当記事では、カーワックスとボディコーティングそれぞれの概要を説明するとともに、DIYで愛車の艶出しをする際のポイントなどを解説します。ボディコーティングに対応しているお店の種類や、艶出し効果を長持ちさせる方法も紹介するので、愛車をピカピカにしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

車の艶出し方法は大きく分けて2種類

車の艶出し方法は、大きく分けて以下の2種類があります。

カーワックスによる艶出し方法
車の艶出しをしたいときは、車用ワックスを使用するのが手軽な方法です。仕上がりに確かな艶と光沢を感じられるのが、カーワックスを使用するメリットです。

固形や半練り、スプレーなど、艶出し用のカーワックスの形状には種類があります。より艶感がほしい人には、固形ワックスがおすすめです。研磨剤が含まれる半練りタイプは、艶出しに加えて水アカ除去にも役立ちます。最もかんたんに施工できるのは、スプレーコーティングです。

手軽に車の艶出しができるものの、耐久性は1か月~3か月と短期間となります。美しい仕上がりを重視して、こまめに手入れができる人に向いています。

ボディコーティングによる艶出し方法
カーワックス以外の車の艶出しとして、ボディコーティングによる方法もあります。専門業者に依頼するほか、自分で施工できる車用コーティング剤も販売されています。

美しい仕上がりをより長く持続させたい人は、ガラスコーティングがおすすめです。専門業者に依頼した場合は3年~5年、自分で施工できるガラスコーティング剤を使用しても3か月~1年ほど、艶や光沢をキープできます。

コーティング施工による艶や光沢は、カーワックスよりも控えめな仕上がりです。車のボディに被膜を張るような形となるため、傷や汚れに強いメリットも体感できるでしょう。

手軽さを重視する人にはカーワックス、耐久性を重視する人にはボディコーティングがおすすめです。専門業者に依頼するのか、自分で施工するのかによっても、耐久性や仕上がりに差が出ます。

DIYで愛車の艶出しをする際のポイント

車のボディの艶出しは、専門業者に依頼せず自分で施工することも可能です。DIYで愛車の艶出しをする際に気を付けたい4つのポイントを解説するので、DIYによる艶出し施工を検討する際の参考にしてください。

下地処理で汚れや傷・水垢などをしっかり落とす

カーワックスやコーティング剤を塗布する前に、念入りな下地処理を行うのが重要です。

普段車を走らせるだけで、水垢や黄砂、花粉などの汚れが車体に付着しています。カーシャンプーをして塗装面がきれいになったように見えても、排気ガスの油膜など目に見えない汚れが落ちていないことも少なくありません。

汚れや傷・水垢は、車体をコーティングする際の密着具合に影響し、持続性が低下します。また、施工後の仕上がりにも差が生まれ、想像よりも艶や光沢が出ていないと感じる可能性があります。

カーワックスやコーティング剤を塗布する前の下地処理は、耐久性と美しい仕上がりに通じる重要なカギです。少しの手間をかけることで、見違えるような車体のコーティングを生み出します。

カーワックスとコーティング剤は重ね塗りしない

カーワックスとコーティング剤を重ね塗りするのは控えましょう。

カーワックスの艶・光沢とコーティング剤の耐久性のメリットをかけ合わせて、ワックスとコーティング剤を重ね塗りしたいと考える人も少なくありません。しかし、2つを塗り重ねたとしても、上に塗られたほうはうまく定着せず、効果を感じられないでしょう。

場合によっては、重ね塗りすることで不自然なくもりが見られることもあります。カーワックスとコーティング剤のどちらを使おうか迷ったときでも、いずれか一方を正しく使用しましょう。

晴れの日に午前中から作業に取りかかる

車体のコーティングをする際は、晴れの日を選び午前中から作業に取りかかるのも大切です。

下地処理から仕上げまで約10工程をこなす必要があり、丸1日を費やすことが想定されます。特に初心者の場合、朝から始めても完了する頃には夕方か夜になることが多いものです。

午後から作業を始めると、1日で終わらせられず、途中で作業を中断しなければなりません。残った工程を翌日に持ち越せば、夜間のうちに汚れや水滴が付着してしまいます。

汚れや水分は、ワックス・コーティングの密着や仕上がりに影響が出るため、作業日を2日に分けるのは好ましくないやり方です。1日で全工程を完了できるよう、時間に余裕をもって作業に取りかかりましょう。

施工後は水気に晒さない

施工が完了したら、水気に晒さないよう注意が必要です。特に、施工後24時間は、コーティングの定着や乾燥に必要な時間のため、水気のないところに車を保管しましょう。

施工直後に水気に触れると、コーティングの硬化不良を引き起こす可能性があります。「本来の艶・光沢が引き出せない」「コーティング効果の持続期間が短くなる」などの悪影響につながります。

施工後の24時間は、コーティングの定着・乾燥に必要な最低限の時間です。コーティングの完全硬化には、7日~10日ほどの日数を要します。

完全硬化までは、できるだけ水気に触れないよう、屋根付き駐車場での保管やしばらく晴れの日が続く日に施工するなどの工夫を施しましょう。また、秋・冬は夜間にかけて結露が発生しやすく、施工環境には配慮が必要です。

ボディコーティングに対応しているお店の種類

DIYで愛車の艶出しをするのが難しいと感じたら、プロの専門業者に依頼するのも1つの方法です。ボディコーティングに対応している主なお店として、以下の4つが挙げられます。

・ディーラー
・ボディコーティング専門店
・カー用品店
・ガソリンスタンド

どの店舗に選べばいいのか迷ったときは、車を購入したディーラーに依頼するのが手っ取り早い方法です。コーティングのみの注文はもちろん、車検や定期点検などで車を預けた際に合わせて依頼することもできます。

少々値段が高くても、仕上がりの美しさや耐久性を重視する場合は、ボディコーティング専門店に依頼しましょう。車用コーティング剤の種類や作業環境がしっかり整備され、高い専門技術を持ったスタッフが施工してくれます。

自宅や会社の近くでボディコーティングをしたいときは、カー用品店やガソリンスタンドを利用するとよいでしょう。給油や車関連の商品購入のついでに、車のコーティングを依頼できるのがメリットです。

車のボディコーティング施工に対応するお店は多くあるため、施工内容や価格、利便性など、重視する内容にマッチするお店への依頼を検討しましょう。

ボディコーティングの艶出し効果を持続させる方法

ボディコーティングの艶出し効果を持続させる方法は、以下の2点です。

・定期的に洗車する
ボディコーティングをした後も、定期的に洗車することで艶出し効果を長く持続できます。

長期間洗車をせずに放置すると、ボディ塗装面に付いた汚れやシミが落ちにくくなります。洗車する回数の目安は、駐車環境や車体の色によるものの、最低でも月に1度は洗車するとよいでしょう。

洗車する際は、カーシャンプーを使用するのも効果的です。マイルドな使用感の中性のカーシャンプーは、普段使いにおすすめです。弱酸性のカーシャンプーはシミ汚れに、弱アルカリ性のカーシャンプーは油汚れに効果的なので、落としたい汚れに合わせて使い分けましょう。

イオンデポジットによるシミを防ぐため、洗車後は必ず水気を拭き取るのも重要です。

・メンテナンス剤で手入れする
車の艶を維持するために、メンテナンス剤で手入れするのも効果的な方法です。メンテナンス剤を使用すれば、洗車では落としきれない汚れを落とせます。

メンテナンス剤での手入れの目安は、ボディの艶や光沢が薄れてきたと感じたタイミングです。スポンジにメンテナンス剤を乗せてボディに優しく塗布し、水で濡らしたマイクロファイバークロスで拭くだけで作業完了します。

定期的な洗車に、メンテナンス剤での手入れを適宜組み合わせれば、ボディコーティングの効果を長続きさせられます。傷や汚れに強いコーティングを求める人は、ガラス系成分の入ったコーティングがおすすめです。

まとめ

車の艶出し方法の1つであるカーワックスは、ボディコーティングと比較すると艶出し効果の持続期間が短めです。しかし、市販のカーワックスを使ってDIYできるため、手軽に愛車の艶出しが行える点がメリットと言えます。ボディコーティングも市販のコーティング剤を使えばDIY可能ですが、仕上がりのクオリティを求めるなら専門業者に依頼するのがおすすめです。

DIYなら自分が納得いくまで作業でき、車に対する愛着も一層湧いてくるでしょう。作業する時間がない方やDIYでの艶出しに慣れていない方は、ボディコーティング専門業者やディーラーへの依頼を検討してはいかがでしょうか。

コーティング2024.03.09

チッピングとは?チッピング塗装のメリット・デメリットも

チッピングという言葉には「切削加工における欠損」「車の表面に付く傷」「マット塗装」などの意味があり、それぞれ用法が異なります。マット塗装におけるチッピングは光沢感や艶感をなくしたマットタイプの塗装のことを示し、車に重厚感や高級感が出るのが特徴です。

当記事では、チッピングの意味とチッピング塗装のメリット・デメリット、チッピング塗装を施した車のお手入れ方法、コーティングの種類などを解説します。チッピングの意味が知りたい方や、車の塗装に興味がある方はぜひご覧ください。

チッピングとは?

チッピングという用語には、さまざまな意味・用法があります。複数の意味・用法を押さえておくことで、シーンに合わせて正しく使い分けできるでしょう。

ここでは、チッピングの意味・用法を3パターン紹介します。

切削加工における欠損という意味の「チッピング」

切削加工における「チッピング」とは、切削工具の刃先が小さく欠けることです。チッピングが起こると加工精度を落とすだけでなく、工具折損を招くケースも少なくありません。

チッピングの主な原因は下記の通りです。

・加工素材と工具がマッチしていない
・送り量が大きい
・刃先に構成刃先が溶着している

硬い工具は粘り強さがやや弱いのが特徴です。加工素材に対して工具が硬すぎると、粘りが足りずにチッピングが起こりやすくなります。また、送り量が大きいとその分工具に負担がかかり、チッピングや工具の劣化につながります。さらに、刃先に構成刃先が溶着すると、構成刃先とともに刃先も剥がれやすくなるため注意が必要です。

車の表面に付く傷という意味の「チッピング」

「チッピング」は、車体表面の小さな削り傷を表す言葉として使われることもあります。具体的な例として、走行中に小さな飛び石が当たり、車体が欠けた場合の傷などが該当します。

チッピングの主な原因は飛び石であり、バンパーやボンネットの前側、サイドステップの下側などに多い傾向です。前を走る車が小石を跳ね上げて接触するケースがほとんどであり、高速道路の走行中は特に発生しやすくなります。

チッピングにより表面が削られると、下塗部分やさらに奥の鉄板部分が白っぽく見えてしまいます。車体色がブラック・ネイビーなどの濃い色の車では目立ちやすいため、専用保護フィルムなどで対策するのも1つの手です。

マット塗装という意味の「チッピング」

車のボディ・パーツの塗装方法である「チッピング塗装」とは、光沢感や艶感をなくしたマットタイプの塗装です。もともとは飛び石などによる傷(チッピング)が引き起こす錆を防止する目的の塗装方法でしたが、近年ではデザイン性の高い塗装として人気を集めています。

通常の車の塗装工程では、カラー塗料の上から表面の保護と艶出しを目的としたクリア塗装を施します。仕上げに研磨剤を使って表面を平らにすることで、さらに光沢感や艶感を強くしているのが特徴です。

対して、チッピング塗装では艶感を消すためにクリア塗装の工程をなくしており、研磨も行いません。表面はザラつきやボコボコ感が目立ちますが、独特の質感によって重厚感が演出されます。最近ではチッピング塗装専用の艶のないクリア塗装が開発されており、お手入れが簡単になったり、外車のような高級感を演出できたりするのが特徴です。

チッピング塗装のメリット・デメリット

チッピング塗装にはさまざまなメリット・デメリットがあります。チッピング塗装に興味がある方は、それぞれの内容をしっかりと押さえた上で塗装を検討しましょう。

ここでは、チッピング塗装のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

メリット

チッピング塗装を施すことで、存在感が強く個性的なデザインが叶います。

チッピング塗装によって得られるメリットは、下記の通りです。

・周りの車との差別化を図れる
・重厚感・高級感を演出できる
・落ち着いたカラーでも存在感が強くなる

近年販売されている車は、基本的には艶感やパール感を目立たせた塗装が採用されています。艶感を消したチッピング塗装は存在感が強く、通常のメタリック色とは異なる魅力を感じられます。

チッピング塗装は独特の重厚感・高級感が魅力です。アメリカ車などの車体サイズが大きい車にチッピング塗装を施せば、さらに重厚感が増した迫力ある見た目となるでしょう。

また、「他とは異なる個性やインパクトを出したいものの奇抜なカラーは苦手」という場合は、チッピング塗装によって落ち着いたカラーでも存在感を演出できます。

デメリット

チッピング塗装は、通常の車と比べてメンテナンスの手間が大きくなります。

チッピング塗装のデメリットは、下記の通りです。

・頻繁に洗車をする必要がある
・洗車方法は手洗いのみ
・塗膜にダメージが蓄積しやすい

チッピング塗装の表面はザラザラ・ボコボコしているため、凹凸部分に汚れが溜まりやすくなります。きれいな状態をキープするには、こまめな洗車が不可欠です。

ただし、洗車機を使用すると表面が削られて光沢感が出てしまい、チッピング塗装特有のマット感が失われます。洗車の際は大量の水を使い、表面の塗装が剥がれないように優しく手洗いしましょう。

また、チッピング塗装は艶感の原因となるクリア塗装を省略しているため、カラー塗装面が紫外線などのダメージをダイレクトに受けます。艶を抑えたクリアやコーティングを施せるものの、通常よりも高額となります。

チッピング塗装を施した車のお手入れ方法

チッピング塗装を施した車は、一般的な塗装を施した車よりも慎重なお手入れが必要です。基本的な洗車方法は、カーシャンプーを使用しない水洗いです。水洗いでは落ちない汚れが付着した場合にのみカーシャンプーを利用しましょう。

チッピング塗装を施した車のお手入れで注意すべきポイントは、以下の通りです。

汚れが付着したら可能な限り早く洗車する
チッピング塗装の表面には汚れが付着しやすい上、放置すると凹凸の隙間に入り込んで落としにくくなります。汚れが付着したらこまめに水洗いしましょう。頑固な汚れがあれば、クロスを被せて70℃前後のお湯をかけるのも有効です。
カーシャンプーは中性・弱酸性を選ぶ
水洗いで落ちない汚れが付着した場合は、中性・弱酸性のカーシャンプーで洗車しましょう。また、ワックスやコンパウンドが含まれた洗剤は、マット感を損なう原因となるため使用を避けるのが無難です。
スポンジやクロスで擦りすぎない
チッピング塗装の表面を擦りすぎると、塗装が落ちる原因になります。柔らかい素材のスポンジやクロスに水をたっぷり含ませ、優しく汚れを落としましょう。
洗車後は水気をしっかり拭き取る
洗車後の水気を自然乾燥させると、水道水のミネラル分が水シミとなって残ります。チッピング塗装の車に限らず、洗車後は水気をしっかりと拭き取りましょう。また、雨水による水シミを防ぐためには、車を屋根付きの車庫や屋内で保管するのがおすすめです。

ボディカラーをダメージから守るコーティングの種類

チッピング塗装を施した車は、コーティングをすることでボディカラーをダメージから守れます。

コーティング処理によってボディカラーの傷や劣化を防げるのはもちろん、汚れを付きにくく・落としやすくすることも可能です。コーティング剤にはさまざまな種類があり、チッピング塗装用の艶なしタイプの製品も販売されています。

主なボディコーティングの種類は以下の通りです。

ポリマーコーティング フッ素・シリコンなどを含むコーティングです。ワックスと比較すると耐久性に優れており、3〜6か月ほど効果が持続します。施工時間が短く低価格であるため、気軽に取り入れやすいのがメリットです。DIYでの施工もできます。
ガラス系コーティング 成分の一部にガラス繊維を含むコーティングです。ポリマーコーティングよりも性能が高く、ガラスコーティングと比較すると低コストであるのが特徴です。専門店での施工が必要となりますが、コストパフォーマンスに優れたコーティングであると言えるでしょう。
ガラスコーティング 車の表面をガラス被膜で覆うコーティングです。紫外線ダメージや傷・汚れに強く、セルフクリーニング効果にも優れています。下地処理作業などが必要となることから施工には数日かかり料金も高い傾向にありますが、高いコーティング効果が2〜5年ほど持続します。

まとめ

チッピングとは、切削加工における欠損や車の表面に付く傷、マット塗装などの意味で使われる言葉です。マット塗装を表す「チッピング塗装」では、通常の車の塗装工程で施すクリア塗装の工程を省いているため、ザラザラとした独特な質感によって重厚感が生まれます。

チッピング塗装は落ち着いたカラーでも存在感が強くなり高級感が演出できるほか、周りの車と差別化を図れるメリットがあります。チッピング塗装は表面がザラザラ・ボコボコしているため凹凸部分に汚れが溜まりやすく、こまめな手洗いが必要です。洗車する際は、基本的に手洗い・カーシャンプーを使用しない水洗いで丁寧に優しく洗いましょう。

コーティング2024.03.09

車の艶出しに最強なコーティング|ワックスを塗る場合の注意点も

愛車のお手入れをしている方の中には、購入時と比べて艶感がなくなったと感じている方もいるのではないでしょうか。車の艶・光沢は、年数の経過とともに紫外線・雨・摩擦による傷・ワックスに付着した汚れなどさまざまな要因によって失われます。車の艶・光沢を取り戻すには、まずはワックスの選び方や車の艶出しに最適なボディコーティングの選び方などを押さえましょう。

当記事では、車の艶がなくなる4つの要因やワックスの選び方・注意点、車の艶出しに役立てられる最強のボディコーティングの選び方などを解説します。ボディコーティングの種類や特徴、選び方に迷っている方は必見です。

車の艶がなくなる4つの要因

車の艶・光沢は、年数が経過すると徐々に失われます。車の艶がなくなる原因には複数の要素があるため、それぞれの内容を押さえておきましょう。

ここでは、車の艶がなくなる要因について詳しく解説します。

紫外線

車が紫外線を浴びることで、塗装面の色褪せ・変色や剥離を引き起こして艶感が失われます。紫外線は塗装の分子を破壊する働きを持つのが特徴です。塗装表面のクリアコートの分子を壊すだけでなく、次の層である上塗りにまでダメージを与えます。

ダメージが進行すると色褪せによって艶感が失われたり、塗装の剥離を引き起こしたりします。剥離した塗装は元に戻らないため、再度塗装しなければなりません。

雨ジミ

車が雨に濡れると洗車では落ちない雨染みが付着し、塗装にダメージを与えることで艶感が失われます。雨水は酸性であるため、塗装面に付着した雨が乾くと酸性物質が固着してシミができます。雨染みはイオンデポジット・ウォーターデポジットとも呼ばれ、塗装面を白濁させることで艶や光沢を低下させるのが特徴です。

雨染みを取り除くには、研磨や薬品の使用が必要です。こまめな洗車によってシミの付着を防止・軽減できるため、艶感を保ちたい人は定期的な洗車を心がけましょう。

また、黒・紺のような濃いボディカラーの車は、夏場の屋外駐車などで塗装面がすぐに高温になります。車についた雨水が乾き、雨染みが発生しやすくなるため注意してください。

洗車時のスクラッチ傷

洗車時にブラシなどで強く擦ると細かな擦り傷ができ、塗装面が乱反射を起こすことで艶感が失われます。

スクラッチ傷とは洗車時の摩擦などを原因とする微細な傷のことを言い、スクラッチ傷による艶感が低下した場合、艶感を取り戻すには塗装面の研磨が必要です。

スクラッチ傷ができる主な原因は、下記の通りです。

・スポンジやブラシが硬すぎる
・塗装面に砂埃が付着したまま擦っている
・拭き上げ時に強く擦りすぎている

スポンジやブラシが硬すぎると、摩擦によりスクラッチ傷ができやすくなります。また、車に砂埃などが付着した状態のままでスポンジやブラシを使用すると、砂埃が塗装面に擦り付けられることで小さな傷ができます。洗車後の拭き上げ時に強く擦ることも傷の原因になるため、柔らかい布で優しく水分を拭き取りましょう。

ワックスに付着した汚れ

ワックス表面には汚れが付きやすく、塗り重ねにより汚れの層ができることで艶・光沢が失われます。カーワックスは主に植物の油から作られた製品です。油の膜には排気ガスや花粉、黄砂などの汚れが固着しやすく、浸透すると洗車で落とすのは難しくなります。

「車の艶感をキープするため」と考えてワックス施工を繰り返すと、回数を増すごとに汚れの層が何重にも重なってしまう可能性があります。かえって塗装面の艶や光沢を低下させてしまうため注意しましょう。

車の艶出しに役立てられるワックスの選び方

車の光沢がなくなる要因の1つとして「ワックスに付着した汚れ」が挙げられます。ワックスを重ねると前回のワックスに固着した汚れを固めてしまい、汚れの層ができることで艶感が失われます。しかし、ワックスを使用すれば、一時的であっても車の艶感・光沢感を向上させることが可能です。

以下では、車の艶出しに役立つ車用ワックスの選び方や特徴を紹介します。

固形タイプ 塗装面の艶出し・保護に長けたワックスです。基本的にコンパウンド剤は含まれていないため、磨き傷の心配も不要です。施工には手間や時間を要しますが、高い艶出し効果を重視する人に向いています。
半練りタイプ 固形タイプよりも扱いやすいワックスです。コンパウンド剤入りであれば、艶出しのほか、水垢・汚れを除去する効果も得られます。艶感をキープしつつ、手軽にお手入れしたい人におすすめです。固形タイプの下地処理にも使用できます。
スプレータイプ 半練りタイプ同様、艶出しと汚れ除去の両方を叶える液体状のワックスです。初心者でもスプレーで薄く・ムラなく塗布できます。固形タイプや半練りタイプと比較すると艶の持続力は低くなるものの、ワックスが初めての人には向いているでしょう。

車の艶出し目的でワックスを塗る際の注意点

ワックスは車の艶出しに役立ちますが、塗り方によっては塗装にダメージを与える可能性があります。ワックスを使用する場合は、事前に注意点を押さえた上で作業することが重要です。

艶出し目的でワックスを塗る際の注意点は、以下の通りです。

一定の方向へ隙間なく塗り込む
ワックスを塗り込む際に円を描くようにスポンジを動かす人もいますが、ムラを防ぐには一定の方向に隙間なく塗り込むのがポイントです。傷を防止するため、スポンジは柔らかいウレタン素材を選びましょう。
施工環境に注意する
気温が高い日・日差しが強い日は、作業中にワックスが乾くことで塗りムラが起こりやすくなります。直射日光を避け、朝・夕や曇りの日に作業するとよいでしょう。
洗車後の水分をしっかりと拭き取る
水道水にはミネラル分が含まれているため、洗車後の水分を放置するとイオンデポジットの原因になります。ワックスがけ前に洗車を済ませたら、必ず水分をしっかりと拭き取ってから作業に移りましょう。

車の艶出しに役立てられる最強のボディコーティングの選び方

車の艶出しにはボディコーティングがおすすめです。車用コーティング剤にはさまざまな種類があるため、特徴を押さえてニーズに合ったものを選択しましょう。

ここでは、車の艶出しに役立つボディコーティングの選び方や特徴について解説します。

ポリマーコーティング

ポリマーコーティングは低コストな樹脂コーティング剤であり、初心者でも施工しやすいのが特徴です。施工性が高くDIYでも簡単にコーティングできるのも特徴で、ガソリンスタンドなどで依頼すれば短時間で施工が完了します。ポリマーコーティングの持続力は半年~1年程度であり、ワックスよりも艶感を長持ちさせられるのがメリットです。

しかし、ガラスコーティング・ガラス系コーティングと比較すると効果や持続力が劣る点や、高度が低く傷付きやすい点などはデメリットと言えるでしょう。まずは手軽にコーティングを試したい方、DIYでコーティング施工を済ませたい方におすすめです。

ガラスコーティング

ガラスコーティングはボディコーティングの中でもっとも性能に優れており、光沢や強度、保護力などが長く持続するのが特徴です。ガラス成分を含むコーティング剤がボディ表面を覆うことで、雨や汚れ、傷、紫外線からしっかりと塗装面を保護できます。また、ガラス被膜により表面がピカピカに仕上がり、艶感がアップするのもうれしいポイントです。

効果は3~5年ほど持続しますが、その分施工費は高額になる傾向にあります。また、DIYで施工するには知識が必要であるため、カーコーティング専門店に依頼するのが無難です。ある程度のコストがかかっても性能に優れたコーティングをしたい方、持続力を重視したい方におすすめです。

ガラス系コーティング

ガラス系コーティングはポリマーコーティングとガラスコーティングの中間的な位置付けにあり、コストパフォーマンスがよい点が特徴です。

ガラス系コーティングは、ポリマーコーティングにガラス繊維を足した商品であり、ポリマーコーティングよりも艶感・持続性・防汚性などに優れています。比較的安価に施工可能である上、効果は6か月~2年ほど続きます。

しかし、ガラスコーティングと比較すると劣化しやすいことや、製品によって性能にバラつきがあることなどがデメリットです。性能と価格のバランスを重視したい方、頻繁に施工する手間を省きたい方におすすめです。

まとめ

車の艶は、紫外線や雨ジミ、洗車時のスクラッチ傷、ワックスに付着した汚れによって失われます。ワックスを塗る際は気温が高い日・日差しが強い日を避け、一定の方向へ隙間なく塗り込むことが大切です。ボディコーティングには、樹脂コーティング剤の「ポリマーコーティング」、耐久性に優れたガラスコーティング、コストパフォーマンスがよいガラス系コーティングなどの種類があります。

ガラスコーティングは光沢や強度、保護力などが長く持続するのが特徴で、雨や汚れ、傷、紫外線から塗装面をしっかりと保護します。カーコーティング専門店に依頼する場合はある程度のコストがかかりますが、効果は3~5年ほど持続するのがメリットです。