こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。
※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。
「日本ライティングではH3のLED取扱い無いんですか?」
という問い合わせをいただくことがあり、その都度「H3は無いんです」と返答しています。なぜ、日本ライティングではH3のLEDを販売しないのか。
最近のクルマには採用されなくなってしまった「H3」ハロゲンバルブですが、どのようなバルブ?用途としてどこに使用されているのか?明るくするにはどういう選択肢があるのか?現行車には採用されておりませんが、改めて「H3」バルブについて解説していきたいと思います。
目次
内藤
島田
「H3」と一口に言っても数種類あるし、それぞれ特徴もあるからしっかりとみていこう。
ハロゲンバルブ「H3」についてお話します。一口に「H3」といっても種類は「H3」,「H3a」,「H3C」,「H3d」と4種類あります。それぞれのバルブ定格出力及び、使用用途は以下の通りです。
いずれもシングルフィラメントのバルブとなります。形状寸法は他のハロゲンバルブと比較しても小さく、フォグランプサイズ設定が小さい車両向けのバルブとなります。
搭載車種例を見ても比較的後方スペースに余裕が少ないスポーティーな車にも採用されている傾向があります。(当然時代背景等様々な理由あり)
用途として、プロジェクタータイプのヘッドランプにも採用実績はありますが、基本的にはフォグランプ用としての使用がメインで使われておりました。搭載年代としては、1980年代後半から2005年迄くらいの車両に搭載されておりました。
メーカー毎の偏りは無く、国内の各メーカーで採用されておりました。FIAT等の一部の輸入車で現在でも採用されている例はありますが、現行車での採用はありません。
●定格出力:12V 55W,24V 55W,24V 70W (24V車両にも採用実績あり)
●使用用途:フォグランプ用・プロジェクタータイプのヘッドランプ用
●搭載車種例:アルファード(10系),クラウンコンフォート,スープラ(80系),ローレル(C35),インテグラ(DC2),シルビア(S15)等々
●口金形状:バルブ後方部に紐のように伸びており、紐の先の平端子が接点となります。
●定格出力:12V 35W
●使用用途:フォグランプ用 ※上記のH3(12V 55W)のヘッドランプに取付不可
●搭載車種例:RX-7(FD3S),フェアレディZ(Z32),ザッツ,ゼストスパーク,キャミ,ジムニー(JB23W)等々
●口金形状:バルブ後方部に紐のように伸びており、紐の先の平端子が接点となります。
●定格出力:12V 55W
●使用用途:フォグランプ用・プロジェクタータイプのヘッドランプ用
●搭載車種例:チェイサー(100系),クレスタ(100系),ランドクルーザー(70),バネットバン等々
●口金形状:バルブ後方に2本端子があり、そこが接点となります。
●定格出力:12V 55W
●使用用途:フォグランプ用 ※H3c用のフォグランプには取付不可
●搭載車種例:オーパ,ミラアヴィ等々
●口金形状:バルブ後方に2本端子があり、そこが接点となります。
内藤
また、他のハロゲンバルブと異なり、当社はもとより他の国内主要バルブメーカーさんもあまり商品販売されている印象はないです。。。
島田
ハロゲンバルブを明るくしたいというお声は「H3」に限らず、全てのハロゲンバルブで共通話題かと思います。現在では、一番安価でハイパーハロゲンへの交換があり、ハイパーハロゲンよりも高額にはなりますが、現在ではLED化が主流になっています。
他方で、上記にも触れているように、「H3」では、他のハロゲンバルブに比べて、LED互換用バルブの主要国内バルブメーカーの商品販売が少ないのが現状です。現状で国内有名バルブメーカーさんであれば、IPF社から販売されております。もちろん、海外メーカー品であれば販売されており、ECサイト等で購入可能です。
当社としては、開発検討はしているものの、以下の理由により商品リリース化しておりません。
H3採用車両の多くが、フォグランプの後方スペースに狭い傾向にあり、LEDバルブのヒートシンクを小さくした際の放熱がLEDバルブから発せられた熱に追い付かない場合が起こり得るため敢えて販売しておりません。(確実に安全にお使い頂けると自信を持ってお出しできるもの以外は販売致しません)
また、当社が販売していない直接的な理由ではありませんが、国産バルブメーカーの多くが商品化していない理由として考えられるのは、採算性にあるのではないかと思います。
上記のようにヒートシンクの熱問題に加えて、「H3」バルブが4種類ありますが、いずれも現行車に採用実績がなく、採用されている車両も20年近く前のクルマがほとんどで、現状登録車両としての交換需要を鑑みると、現実的な採算性を考えて開発に踏み切れないというリアルな事情もあるのが現状ではないかと思います。
さらに、4種類全部開発するとなるとそれなりの開発コスト、開発納期が発生するため、他のハロゲンバルブのLEDバルブを開発及び進化させる方が現実的であると考えるメーカさんが多いのではないかと考えられます。
明るくするには、当社では「H3」のLEDバルブは販売しておりませんが、他メーカーさんから出されているように、LED製品自体は世の中にありますので、そちらを検討されるのも一つの手段です。一方で、当社としても「H3」のハイパーハロゲンであればご用意があります。
HIDやLEDほどの明るさではありませんが、十分な明るさの確保、ドレスアップ性も兼ね備えた製品となりますので、明るくする手段の一つとしてご検討してみてください。
内藤
それにともなって、当然H3のフォグランプやヘッドライトをLEDにしたい人は増えてきていると思うのですが、実際取り付けで注意する点はありますか。
島田
FD3SのRX7や80スープラ、R32、R33スカイライン、S15シルビアなどのスポーツモデルにH3のフォグランプが使われているね。
それじゃあ、ちょっと前のクルマに最新のLEDの取り付けに関する注意点を解説するよ。
H3のライトユニットは、フォグランプもヘッドライトもダストカバーが付いていますが、その奥行きが短く、LEDバルブを装着するとダストカバーが装着できないことがほとんどです。
また、ダストカバーを切って装着できたとしても、今度は車体とLEDバルブのお尻の部分が干渉することも少なくありません。
そのため、H3 LEDバルブを購入する時には、全長の長さが灯具に装着したときに、車体に干渉しないか寸法を測ってから購入することをお勧めします。
このほか、H3装着車で注意が必要なことは、H3装着車は年月がかなり経っているクルマがほとんどという事です。新車から保有していればクルマのコンディションは把握していることでしょうが、中古車で購入した場合は、どのような扱いがされてきたクルマなのかわからないので、パーツを外すにもかなり覚悟がいることがあります。
特に、融雪剤を多く使用する地域で使用していたクルマは、錆による腐食に注意が必要です。フォグランプユニットを外すにも、取り付けボルトが腐食して外すのに手間取ることがあります。
また、なんとかH3バルブにアクセスできる状態までこぎつけても、前のオーナーがカスタムを行い、一筋縄では交換できないこともよくあります。
特に、古いスポーツタイプのクルマに多く見られ、当時のクルマ好きの若者がこぞってアフターパーツでチューニングしていたことから起きる不具合です。
これらの問題を避けるには、中古車で購入する時に、できるだけノーマルで使用されていたクルマを探すことが重要です。しかし、すでに購入して使用しているクルマが何かしらのカスタムが施されていた場合は、H3バルブを交換する時に苦労することが多くなるでしょう。
2,000年初期の頃のクルマのライトを明るくするには、H3バルブを含めて高効率バルブに交換するのが主流でしたが、HIDに換装する人も多く見られました。しかし、そのままでは当然スペースの問題から取り付けができないことも多く、加工を行って取り付けるクルマがほとんどでした。
当然、加工も配線から防水に至るまで、綺麗に行っていれば問題はそれほど起きませんが、DIYや、適当な業者が取り付けたようなHIDでは、灯具のH3バルブを取り付ける台座にサビが回っていたり、カバー自体がボロボロになっているなど、通常のバルブ交換作業ですらままならないこともあるでしょう。
内藤
島田
内藤
H3用LEDバルブが思ったより明るくないしフォグの役割果たしてないから、定番のコイツに交換します pic.twitter.com/M7YBUrjcuq
— マル@8/9 日焼け大会 (@maruoro) July 18, 2020
とりあえず切れる心配のないLEDで…
h3のLEDバルブで明るいの無いっぽい?
いつかラリーカーばりのデッカいフォグ付けたいなぁ…(笑) pic.twitter.com/5QVc3US52X— カ→キ/hаrυk! (@sihado_makale) June 16, 2017
島田
H3ハロゲンバルブを明るくしようとLEDバルブに交換しても、ハロゲンバルブのほうが明るかったという話をよく耳にします。その理由はH3バルブの形が大きな原因です。
H3ハロゲンバルブは、コンパクトな形をしています。そのため、LEDを取り付けようとしても通常のLEDのように大きなヒートシンクや冷却ファンが付いたLEDを装備すると、灯具に取り付けできません。
そこで、一般に多く販売されているのが、H3ハロゲンバルブと形状と大きさがほとんど変わらないLEDバルブです。この大きさは、当然ハロゲンバルブと同じ形でなければなりませんから、当然ヒートシンクも冷却ファンも付きません。
この冷却機能がないことが、LEDの明るさを阻害しています。というのも、LEDチップ自体はほとんど発熱しないことで知られていますが、LEDを駆動する部分はかなりの発熱があります。
この発熱は、LEDが明るくなるほどその発熱量は増してきますから、明るいLEDを作るには冷却機能が必要となります。当然H3ハロゲンバルブと同程度の大きさのLEDバルブでは冷却機能を取り付けられませんから、明るいLEDチップを装着できません。
これが、H3 LEDが暗いといわれるところです。
しかし、H3 LEDにもヒートシンクや冷却ファンを持つ製品が多くなってきました。ただし、どうしてもLEDバルブのお尻の部分が大きくなるので、そのままでは装着できない車両が多くあります。
ただ、カスタムして自分好みにするのであれば、車両の加工を綺麗に行ってもらえるショップに依頼して取り付けるのも良いでしょう。
内藤
島田
それを全て白色で統一しようとすると、LEDバルブを選ぶしかないよね。だから車種によっては明るさうんぬんよりドレスアップ目的でH3 LEDにすることもあるのさ。
・「H3」は、「H3」,「H3a」,「H3c」,「H3d」と4種類あり、現行車両には採用実績が無く、2005年頃までの年式の車両に採用
・国内主要バルブメーカーからの販売は少ない。理由は様々であるが、バルブ後方スペースの狭さからのヒートシンクの放熱力が課題
・明るくするには、LED製品も手段の一つであるが、ハイパーハロゲンへの交換でも必要十分