ハイビームの車検について。保安基準198条3項の内容とは

こんにちは。
日本製LEDヘッドライトの日本ライティング内藤です。

 ※日本製LEDヘッドライトの特徴についてはこちらをご覧ください。

保安基準には、ヘッドライトの明るさの規定以外にも取り付けや作動方法について詳しく記載があります。しかし、内容を読んでも、言葉や言い回しが普段使用する日本語と異なり、難しいと思う人も多いのではないでしょうか。

そこで今回、198条第3項にあるヘッドライトの取り付け基準や操作方法についてわかりやすく解説します。

ハイビームの詳しい基準が198条3項

内藤

この前、198条2項について島田さんに解説してもらったんですが、その次の3項はもっとややこしい言葉で書かれていて、全く理解できないんです。今度は3項について解説してほしいのですが。

島田

確かに3項のほうが回りくどく記載されているよね。その中には、皆が乗っているクルマだけでなく、工事用車両や農業用トラクターなど、特殊車両についても記載されているから厄介だよね。

内藤

そうなんですよ。カッコ書きで記載されているから余計わかんないんです。

島田

確かに読みにくいよね。じゃあ、法規をわかりやすく解説するよ。

保安基準198条3項をわかりやすくすると当たり前のことだった

198条3項に書いてあることは、主に取り付け方法や操作について記載されています。原文は、非常に長いので以下のリンクの198条3項を見てください。

分かりやすく、くだいて解説

一 走行用前照灯の数は、2個又は4個であること。ただし、二輪自動車及び側車付二 輪自動車にあっては、1個又は2個、カタピラ及びそりを有する軽自動車、幅 0.8m 以下の自動車(二輪自動車を除く。)並びに最高速度 20km/h 未満の自動車(二輪自 動車及び側車付二輪自動車を除く。)にあっては、1個、2個又は4個であること。 このうち、被牽 けん 引自動車、最高速度 20km/h 未満の自動車(二輪自動車及び側車付二 輪自動車を除く。)、除雪、土木作業その他特別な用途に使用される自動車で地方運 輸局長の指定するもの、最高速度が 35km/h 未満の大型特殊自動車、二輪自動車、側 車付二輪自動車、農耕作業用小型特殊自動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動 車を除く自動車にあっては、車両の左右各側において1個を曲線道路用配光可変型走 行用前照灯として使用してもよい

3項の1には、ヘッドライトの数について記載されています。法規では、クルマに装備できるのは2個または4個と決められています。

二 4個の走行用前照灯(その全てが、消灯時に格納することができる走行用前照灯(以 下「格納式走行用前照灯」という。)であるものに限る。)を備える自動車にあって は、前号の規定にかかわらず、4個の走行用前照灯のほか、道路交通法第 52 条第1項 の規定により前照灯を点灯しなければならない場合以外の場合において、専ら手動に より短い間隔で断続的に点滅する又は交互に点灯させることにより警報を発すること を専らの目的とする前照灯を2個備えることができる。

3項の2には、4個のヘッドライトを装備するクルマでは、手動により短い間隔で断続的に2個点灯させることが出来るとあります。これの意味するのはパッシングのことであり、一般的にハイビームがこれに当たります。

三 走行用前照灯の最高光度の合計は、430,000cd を超えないこと。

3項の3には前照灯、つまりハイビームの明るさが左右合わせて43万カンデラを超えないことと、記載されています。

カンデラは、光の強さを意味し、正面から見たときの眩しさを表しています。そして、車検での最低基準が片側6,400カンデラ以上と決められており、一般的に純正であれば片側1万カンデラ程度です。

四 走行用前照灯の照射光線は、自動車の進行方向を正射するものであること。ただし、 曲線道路用配光可変型走行用前照灯にあっては、その照射光線は、直進姿勢において 自動車の進行方向を正射するものであればよい。

3項の4では、ヘッドライトは正面を照らすことと決められています。ただし、アダプティブ・ドライビング・ヘッドライトは、クルマの進行方向を照らせばよいことになっています。

五 走行用前照灯の点灯操作状態を運転者席の運転者に表示する装置を備えること。た だし、最高速度 35km/h 未満の大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車、二輪自 動車、側車付二輪自動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動車にあっては、この 限りでない。

3項の5では、ハイビームを点灯していることをドライバーに知らせるインジケーターを備えることとあります。これは、インパネにハイビームを点灯するとインパネにブルーに点灯するランプのことです。

六 走行用前照灯は、走行用前照灯を1個備える場合を除き左右同数であり、かつ、前 面が左右対称である自動車に備えるものにあっては、車両中心面に対して対称の位置 に取り付けられたものであること。ただし、二輪自動車ですれ違い用前照灯の側方に 走行用前照灯を備えるものにあっては、走行用前照灯及びすれ違い用前照灯の中心が 車両中心面に対して対称の位置にあればよい。

3項の6は、車両の中心から左右対称の位置にヘッドライトを装備しなさいと言う事です。しかしロービーム1灯、ハイビーム1灯備えるバイクの場合は、バイクの中心から左右対称にそれぞれ取り付ければよいとされています。

七 走行用前照灯は、走行用前照灯の点灯操作を行ったときに自動車の両側に備える走 行用前照灯のうちそれぞれ1個又は全ての走行用前照灯が同時に点灯するものであ り、かつ、すれ違い用前照灯の点灯操作を行ったときに全ての走行用前照灯が消灯す るものであること。

3項の7では、ハイビームを点灯した時に、左右同時に点灯することと、ロービームに切り替えたらハイビームは消灯しなければならないとあります。

八 走行用前照灯は、車幅灯、尾灯、前部上側端灯、後部上側端灯、番号灯及び側方灯 が消灯している場合に点灯できない構造であること。ただし、道路交通法第 52 条第1 項の規定により前照灯を点灯しなければならない場合以外の場合において、専ら手動 により走行用前照灯を短い間隔で断続的に点滅する、又は交互に点灯させる場合にあ っては、この限りでない。

3項の8は、乗用車でハイビームが点灯できるのは、車幅灯、尾灯、ナンバー灯が点灯したときで、これらのライト類が消灯しているにもかかわらず、ハイビームを点灯することはできないとあります。ただし、パッシングは例外であると記載されています。

九 走行用前照灯は、点滅するものでないこと。ただし、前号ただし書きの場合にあっ ては、この限りでない。

3項の9は、一般の乗用車は、ハイビームが点滅できない構造でなければならないとあります。

十 走行用前照灯の直射光又は反射光は、当該走行用前照灯を備える自動車の運転操作 を妨げるものでないこと。

3項の10では、ハイビームを点灯したときに、その光が運転を妨げるような点灯方法となってはならないとあります。

十一 走行用前照灯は、その取付部に緩み、がた等がある等その照射光線の方向が振動、 衝撃等により容易にくるうおそれのないものであること。

3項の11は、ヘッドライトの取り付けにガタや緩みがあると、光軸が狂うのでしっかり取り付けることとあります。

十二 走行用前照灯は、前項に掲げる性能を損なわないように取り付けられていること。 この場合において、灯器のレンズ面等に光軸を変化させるものを貼付するなどしてお り、かつ、これにより配光等に著しい影響を与えているものは、この基準に適合しな いものとする。

3項の12では、ヘッドライトのレンズにステッカーなどを貼り、配光や光量に変化があった場合は、保安基準に適合しないとしています。

十三 走行用前照灯は、その作動状態及び不作動状態に係る制御を自動で行う場合には、
次に掲げる要件に適合しなければならない。

    イ 周囲の光の状態及び対向車又は先行車から発せられる灯光に反応すること。
    ロ 当該制御を手動により行うことができ、かつ、手動により解除できること。
    ハ 当該制御を自動で行う状態であることを運転者席の運転者に表示できること。

3項の13は、最近装備が進んでいるハイビームの自動切換え装置に関することで、対向車を幻惑させないよう自動切り替えができ、しかもドライバーが任意でいつでもその機能を解除できるようになってなければならないとあります。また、自動になっているのか手動なのかをドライバーが知ることが出来る表示灯などを装備しなさいとあります。

内藤

こうやってわかりやすく解説してもらうと、ごく普通のことなんですね。

島田

その通り。純正で使っていれば当たり前だけど、カスタムする時には注意が必要なことも有るよね。例えば、ヘッドライトの数を増やすことや、オートライトを後付けでする場合などだね。

内藤

あと、明るさも注意が必要ですね。

島田

確かにそうだけど、43万カンデラといったら相当な明るさだからね。純正のヘッドライトユニットで、その明るさを超える市販品はないと思うよ。

内藤

これで法規も良く理解でき、カスタムする時の参考に出来ます。今回も有難うございました。

まとめ

保安基準は、公道を安全に走行するために必要な法規です。特に夜間の安全確保に欠かせないヘッドライトは細かく規定が決まっており、対向車を眩しくさせない装備方法や、ドライバーがどんなライトが点灯しているか知ることが出来なければなりません。

保安基準は、わかりやすくすればごく当たり前のことが記載され、純正の状態が基本です。そして、そこからカスタムする場合、そのカスタム方法が保安基準に適合しているのか確認すれば、そのカスタムが大丈夫なのかわかるでしょう。

   
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