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コーティングとワックスの違い|両者のメリット・デメリットも解説

車のお手入れと言えば、昔からワックスがけが主流ではあるものの、近年ではワックスがけをする方が減少していると言われています。その理由として、ワックスより光沢と水弾き性能が長く持続するコーティングの進化が挙げられます。しかし、ワックスにはコーティングでは得られない艶が特徴であり、愛車をピカピカにしたいユーザーにとってワックスが完全に魅力を失ったとは言えません。

そこで今回は、コーティングとワックスの違いやそれぞれのメリット・デメリット、日本でワックスが流行・普及した経緯について解説します。

コーティングとワックスの違い

コーティングもワックスも、車を汚れや傷から保護してきれいに見せる点では共通していますが、含まれる成分や効果、維持できる期間などが異なります。

以下は、コーティングとワックスそれぞれの特徴を比較した表です。

ワックス コーティング
主な成分 カルナバロウ(ヤシ由来のロウ)が含まれているものが多い 製品の種類により、シリコン系(ポリマー系)とガラス系に分けられる
持続期間 ・1か月ほど
・製品によっては長持ちするものもある
・ポリマー系コーティング剤は数か月から半年ほど
・ガラスコーティング剤は数年持つものもある
効果 ・ボディの艶出し効果が高い
・表面に薄い油の膜をつくり、撥水して紫外線や酸性雨などのダメージから車を保護する
・表面に付いた細かな傷を目立たなくする
・ボディに艶や光沢を与える
・表面に硬い層を形成し、紫外線や酸性雨などのダメージから車を保護する
・洗車時の汚れが落ちやすく、メンテナンスが楽になる
・細かな傷が付きにくくなる

コーティングには効果の持続期間が長くメンテナンスしやすい魅力がありますが、ワックスも独特の深い艶を出せることで根強い人気があります。

ワックスのメリット・デメリット

ワックスには優れたメリットがあり昔から車のお手入れに用いられてきましたが、いくつかデメリットもあるため近年ではコーティングを選ぶ方も増えています。

ここでは、ワックスのメリット・デメリットを解説します。

メリット

ワックスの主なメリットは、下記の2点です。

・専門知識がない人でも自分で手軽に施工できる
・愛車の表面に光沢や艶が出る

ワックスは市販品がたくさん販売され、特に専門知識がなくても自分で施工可能です。市販品は5,000円以内で買えるものが多いため、コストを抑えたお手入れができます。ワックスがけを専門店に依頼しても、1万円以内で収まることがほとんどでしょう。

車の表面に油の膜を形成することで独特な光沢感が強い艶を生み出す点も、ワックスをかける大きなメリットの1つです。油膜が水をはじくので、雨汚れや泥汚れなども付きにくくなります。

デメリット

ワックスの主なデメリットは、下記の2点です。

・取れるのが早く、短期間で塗り直しが必要になる
・汚れが付着しやすい

ワックスは車のボディ表面に油を塗るため、太陽の熱や雨で溶けていきます。そのため、長く維持できず、短期間で頻繁な塗り直しが必要です。こまめに塗り直しができない場合、剥がれたワックスが汚れとしてこびりついてしまうこともあるでしょう。

また、ワックスは油の膜を形成するので、排気ガスなどの油汚れが付着しやすい点もデメリットの1つです。有機系の汚れが塗装面に付くとこびりつき、洗っても取れなくなることがあります。

定期的なお手入れが必要ではありますが、愛車の手入れが好きでこまめにボディメンテナンスできる方であれば問題ないでしょう。

コーティングのメリット・デメリット

昔はワックスが主流だったものの、コーティングにはワックスにないメリットがあるため近年はコーティングを選ぶ方も増えています。

ここでは、コーティングならではのメリット・デメリットを解説します。

メリット

コーティングの主なメリットは、下記の3点です。

・持続性が高く頻繁な塗り直しがいらない
・車の表面に硬い層が形成され、小さな傷や汚れが付きにくい
・コーティングした後は、水洗いでも汚れが落ちやすい

コーティングは長持ちするので、ワックスのような頻繁な塗り直しは必要ありません。選ぶ種類やコーティング剤によって変わりますが、中には数年そのままでよいケースもあります。

コーティングは車の表面に硬い層をつくるので、傷や汚れが付きにくくなる点もメリットの1つです。コーティングした後は汚れが付着しても洗車で落としやすくなるため、簡単なお手入れできれいな状態を維持できます。

デメリット

コーティングの主なデメリットは、下記の2点です。

・施工費用が高い
・施工には専門知識が必要になる

きれいにコーティング施工するためには専門知識が必要であり、仕上がりのきれいさや耐久性を考えれば、コーティング専門店に依頼したほうがよいでしょう。依頼した場合の費用は店舗によって異なりますが、小型車で3万円前後、大型車で10万円前後かかることもあります。専門店でコーティングすると非常に美しい艶が得られ、汚れもつきにくくなります。数年など長く持つこともあり、長期的なスパンで考えれば高額すぎる額とは言えないでしょう。

専門店に頼む方法以外では、自分でできる自動車用ガラスコーティング剤を使用するのもおすすめです。日本ライティングの「シラザン50」は、スプレーするだけで本格的なガラスコーティングができる製品です。お手入れに便利な重ね塗りキットもあるので、自分でできるコーティング剤をお探しの方におすすめです。

シラザン50

日本でワックスが流行・普及した経緯

現在では、質の高さや作業回数が少なくて済むことなどにより、車のお手入れと言えばワックスよりもコーティングを選ぶ方が多くなっています。しかし、かつては愛車の外観を美しく見せるためには、ワックスを使うことが一般的でした。

ここでは、日本で車のワックスが流行し、一般に広く普及した経緯や背景などについて解説します。

アメリカから日本に伝わってきたワックス

車は、日本が江戸時代の頃(1769年)、馬車が主流のフランスで誕生しました。時が流れ、車が大衆化となったのは1908年に登場したT型フォードの誕生からです。

参考資料:
・自動車誕生から今日までの自動車史(前編)
・T型フォードとアメリカのモーターリゼーション、“Ford Times”からのエピソード

ワックスに目を移すと、アメリカの家具磨き剤を作るマグアイアーズが1901年に創業し、家具用のワックスを開発しました。当時登場した車は馬が無い乗物、すなわち木製の自動車でした。そこで、家具磨き剤を利用したワックスがけが車にも利用できることに着目し、一気にマグアイアーズのワックスが広まります。

参考資料:マグアイアーズ

日本でも車は明治時代に輸入されていましたが、大衆化はもっと先の1960年代に入ってからです。時はいざなみ景気と言われる高度成長期まっただ中でした。1955年にトヨタから初代クラウンが登場し、その後国民車構想が練られ、好景気と相まってあっという間に国民に車が手に入る時代がやってきます。

しかし、車のワックスは、海外製しかなく、高価で手に入れにくかったことから普及はそれほど進みませんでした。そしてついに、ソフト99より国産ワックスが登場します。当時は木製家具用として開発されたリキッドタイプの物でしたが、車の所有者にとって救世主的存在だったといいます。

参考資料:未来のあたりまえを創造したソフト99の歴史

その後、静電気によるホコリや汚れの付着を抑える静電気防止剤を配合した自動車専用ワックスが同じくソフト99より1962年に登場します。当時、静電気による汚れの付着を守れることは画期的であり、瞬く間に多くの方に広まります。

しかし、固形ワックスは塗りにくく拭き取りも大変という欠点があり、多くのユーザーから不満もありました。そこで新たに登場するのが、ソフト99のハンネリワックスで、今も変わらないパッケージで多くの方に親しまれています。

自動車メーカー純正ワックスの存在

1970年代に入ると、ワックスも庶民に多く広がってきます。それまでは車の洗車と言えば、水洗いのみというのが定番で、ワックスをかけることは極一部の方に限られていました。新車購入するとメーカー純正のカーワックスがプレゼントされるようになり、ワックスがけが浸透し始めます。

1970年代から1980年代にかけて、地方ではカー用品店などはほとんど見られず、また今では当たり前のホームセンターも見当たらない地域がほとんどでした。そのため、ユーザーがワックスを購入する場所は、ガソリンスタンドが定番であったと言われています。

ガソリンスタンドに行くと、ワックスが1種類から2種類程度販売されており、新車で試供されるワックスが無くなると、ガソリンスタンドでワックスを購入する方が多くいました。

ガソリンスタンドで手軽に受けられるワックスがけ

ワックスが全盛だった頃は、洗車をする場所と言えばガソリンスタンドという方も多く、自分で手洗いするほか、スタンド定員に手洗いワックス洗車を依頼するのがトレンドでした。つまり、昔のガソリンスタンドは、燃料補給や車の軽整備のほか、洗車も重要な仕事となっていました。

そして、1970年代に入ると、ワックス機能が付いた洗車機が登場します。これにより全国的に一気に広がりを見せたと言われ、地方のガソリンスタンドにも門型洗車機が設置されます。当時は、ガソリンスタンドでの洗車は無料でした。そこにコイン数枚で洗車できるとは言え、有料の洗車に戸惑うユーザーも少なくありませんでした。

その後、据え置き型で車がトンネルの中を自走しながら洗車する洗車場も登場し、ワックス洗車が一気に広まりを見せてきます。

コーティング後のワックスがけはNG?併用できない理由を解説

コーティング済みの車にさらにワックスをかける必要性はなく、むしろ避けるべきでしょう。後からワックスをかけることでコーティング効果が落ちる可能性があります。併用できない主な理由は以下の通りです。

・ワックスの劣化がコーティングに影響を与える
ワックスは熱や紫外線に弱いため、施工しても長く持たずに溶けて流れます。溶けて流れたワックスの油分がコーティング面に付着すれば、形成した被膜まで劣化し本来の耐久性が失われます。

・ワックスによって有機系の汚れが付着する
コーティングは汚れを付きにくくする効果がある一方、ワックスは排気ガスや花粉といった有機系の汚れが付着しやすい特徴があります。ワックスを重ね塗りすることで、コーティングによる防汚効果が損なわれます。

・コーティングを傷めることがある
コンパウンド成分が含まれたワックスを塗ると、コーティング表面の被膜が傷つき、場合によっては剥がれることがあります。

コーティング後のワックスがけは、コーティングによる保護効果が薄れて愛車を傷つける可能性が高くなるためおすすめできません。コーティングの効果が薄れてきたと感じたら、コーティング専用のメンテナンス剤を使用しましょう。

まとめ

コーティングとワックスは、いずれも車を汚れや傷から保護してきれいに見せるためのメンテナンス用品です。ワックスにはカルナバロウ(ヤシ由来のロウ)が含まれているものが多く、コーティングはシリコン系(ポリマー系)とガラス系に分けられます。

ワックスは専門知識がなくても自分で手軽に施工できるのがメリットで、コーティングは持続性が高く頻繁な塗り直しがいらないのがメリットと言えるでしょう。愛車のお手入れでコーティングかワックスで迷った際は、双方のメリット・デメリットを把握した上で選ぶことをおすすめします。

   
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