島田さんー!お疲れ様です~!!今、お時間大丈夫です?またクルマのバルブに関して教えて欲しいんですよね~。
お疲れさんー!今は手が空いているところだから大丈夫だよ。またお客様から問い合わせがきたのかな?
はい。今回は、HIDバーナーの「D4S」に関して教えて欲しいです。HIDなんですけど、夜道が「D4S」は暗いという問い合わせがきました。
お客様も内藤君に相談すれば、解決できると思ってもらえてる証拠だね!頼もしい!了解したよ!「D4S」のバルブだね。
トヨタ車に多く採用されているD4Sは、どんなバルブ?
D4Sなのですが、HIDバーナーの一種であることは分かっているんですが、具体的にどういったモノなのでしょうか。また、お客様が暗いとおっしゃる理由が分かれば教えて欲しいです。
D4Sなんだけど、内藤君のご存知の通り、HIDバーナーの一種だよ。国産車のHID車両には、大きく分けて4種類のバーナーが使用されているんだ。
1.D2R
2. D2S
3. D4R
4. D4S
この4種類だ。D4Sのバーナー定格は「42V 35W」で、主にプロジェクタータイプのヘッドランプに使用されているんだ。ここで少し、余談だけど、搭載車両としては、トヨタ車、ダイハツ車が中心で、一部日産車、ホンダ車でも使用されているHIDバーナーなんだ。
主に、オスラム社、フィリップス社で製造されていて、純正採用としては、フィリップス社が比較的多めかもしれない。
話を戻して、プロジェクタータイプのヘッドランプというと、魚眼レンズみたいなのがランプ内にあるものがプロジェクタータイプのヘッドランプだ。一方で、D4Rというとリフレクタータイプのヘッドランプに使用されているんだ。
リフレクタータイプというと、ランプのレンズ越しにバルブが見えるタイプのランプだよ。そして、D4SとD4Rは、バーナー内に水銀を使用しない新しいタイプのものなんだよ。
D2RとD2Sには水銀が入っているんだけど、環境対策等あって、水銀レスになったんだ。ちなみに、D4SもD4RもD2RとD2Sとの互換性は無いんだ。
なるほどです。国産車だけでもHIDバーナー4種類あったんですね。
ちなみに口金とかの形状はどうなんですか?各種違いはあるんですか?
口金はね、パッと見は同じに見えると思う。よく見ると口金のツメの部分が少し違うんだ。あとは、ガラス管のシェードが有る無しくらいだから遠くから見たら本当に見分けがつかないと思う。
だからこそ、車種別適合表を見て、車種に適したバーナーを選択する必要があるんだ。さっき言うた通り、各種互換性は無いからね。
なるほどですね。やはりハロゲンバルブ等々と同様に車種に応じたモノをチョイスする必要がありますね。
冒頭の話に戻るのですが、D4Sが暗いというお客様は何を持って暗いと感じられているのでしょうか。原因や対策等々あれば教えて欲しいです。
そこなんだよね。お客様は何を持って暗いと感じられているのだろうか。基本的にはハロゲンと違って、HIDだからそこまで暗いということはないと思うんだけどね。
お客様が暗いと感じられる理由として、考えられる点は次の3つだね!
一つ目は、元々D2車両に乗られてたことがあって、D4車両の暗さを感じられたパターン。
D2バーナーの定格電圧は85Vなのに対し、D4バーナーの定格電圧が42Vで低いため電圧差で暗く感じられるもの。(D2:85V,D4:42V)
二つ目として、これはHIDバーナーに限った話では無いんだけど、バーナー自体の経年劣化で暗くなっているのに、先入観的に暗く感じるもの。(新品装着後、使用頻度にもよるが、徐々に明るさが落ちることに起因)
三つ目は、お客様のヘッドランプ自体が紫外線等々原因で黄ばんでいて本来の明るさで点灯できていないため、暗く感じるもの。
とまあ、これ以外にも考えられるのはいくつかあるけど、一番の原因は一つ目に挙げたD2バーナーよりも電圧が低いからそれと比べて暗いと感じられているんだと思う。
なるほど!D2とD4で電圧が異なるんですね。確かに85Vと42Vでは素人ながらにも単純に暗くなるんだろうなって思います。あとは、3番めのメンテナンス次第感がありますね。。。
実際問題、D4バーナーを現時点よりも明るくすることってどのような方法があるんですか?
ヘッドランプの状態も悪くなくて、新品同等のHIDバーナーを使用している状態であれば、市場にあるHIDパワーアップキットがあるにはあるよ。
これは車両側にあるHIDのバラストを交換するタイプで、文字通り、パワー増強キットだね。通常定格の35Wから55Wにパワーアップさせるものなんだ。
HIDバーナーから互換用のLEDバルブとは毛色が異なっていて、純正の配光等を損なわず、明るさのみを高められる製品だ。
そういった製品が他社さんからは出ているんですね~。勉強不足で知りませんでした。。。
現状、当社にはHIDからのLED互換製品も発売していませんが、こういったお客様には何をアドバイスすればよいでしょうか。
そもそも大前提として、ハロゲンバルブと比較して、HIDの明るさは段違いであるのは間違いないから、そこをまずはお伝えすること。
そして、HIDバーナーも消耗品であるから、D4Sバーナーも定期的に新品に交換すること、そして交換する際は、必ず左右同時に交換することをお伝えして欲しいな。
バルブの球切れで左右同時に切れることは稀だけど、左右ともに同じ時間使用しているからバルブ自体にダメージは蓄積されているわけだ。だからこそ、定期的に左右同時交換を推奨したい。
ここでいう定期的にというのは、車検時、12か月点検等の時期のことだよ。他の自動車部品と同様に車検に通るレベルからOKではなく、小まめに点検していくことが製品の明るさを最大限発揮できるということをお伝えしてほしい。
また、ヘッドランプの黄ばみもバーナーの明るさを妨げる原因にもなるので、市販されているヘッドランプクリーナ等を用いて綺麗な状態をキープさせることも明るいヘッドライトにするためには必要であることもお伝えしてほしいな。
ケルビン数が大きすぎても暗く感じる
社外品で、明るくするためにパワーアップキットがあることはわかりましたが、社外品だと色温度も色々なタイプがあるじゃないですか。その辺も明るさを考えた選び方として重要になってきますか?
内藤君、知らないようなふりしてかなりコアな部分をついてきたよね。確かに色温度はHIDでは様々な種類が売られているよね。
純正のハロゲンのような色合いから明らかに車検に落ちてしまいそうな青いタイプまであるね。車検に落ちてしまう青みがかった色のライトは、当然暗く感じて見えにくい。
やっぱり。純正のD4Sならまだしも、それを色温度の高いアフターパーツにすると、逆に暗くなるという事ですね。
そうそう。まだユーザーの中には、ケルビン数が大きいと明るくなると勘違いしている人が多いからね。ケルビン数をいくら大きくしても色味が青っぽくなるだけで明るくはならないから。
ちなみに純正のHIDは昔から4300ケルビン前後が多いんだ。でも社外品のHIDバーナーは、6000ケルビン以上がほとんどだろ。実は、ケルビン数が上がると明るさが落ちる傾向にある。
でも、白くなると明るく感じますけど。例えばLEDなんてすごく白いじゃないですか。
確かに白く見えると明るくなったと感じるよね。でも雨の日なんかは黒いアスファルトに光が吸い込まれて暗い。でもLEDの場合は、青みがHIDより少ないからそれほど暗く感じない。
だから白くても明るく感じるということだね。
そこで、HIDの暗さに話を戻すと、明るくしようとして、社外品を選ぶときにケルビン数の高い製品を入れている人がいる。これが逆効果で光の青さが暗く感じさせるんだ。
この暗く見える原因は、青い光が散乱して対象物をとらえられないからなんだ。だから、社外品のHIDを選ぶときは、6000Kまでに抑えたほうが良いよね。そうすれば、白さと明るさのバランスがちょうどよい。
なるほど、社外品で明るくさせようとケルビン数で選ぶと逆効果という事ですね。
D4Sは明るさが落ちると車検に受からない
ここで一つ確認したいのですが、D4SのHIDで暗いと感じても車検は問題ないですよね。
これも、実際にテスターにかけなければわからないけど、明らかに暗いと感じているようなら車検に通らない可能性は否定できないね。
そうなんだ、ハロゲンより明るいはずのHIDなのに車検で光量が足りないこともあり得るんだ。それは、車検がハイビームからロービームの測定になっただろ。これが問題なんだ。
ロービームで検査する訳だけど、暗いといわれるD4SのHIDが意外に曲者なんだね。D4SのHIDを長く使っていると、当然劣化により光量が意外と出ないことが多い。
しかも、6000K当たりの社外品だと新品でも既定のカンデラをクリアできないこともあるんだ。
そこで、車検に通らない場合は通常バーナーを交換するんだけど、この時にカー用品店でパッケージのうたい文句に惑わされて、ハイルーメンタイプの6000Kなんかを選ぶと失敗することもある。
だから、車検に通らなかった場合は純正品または、純正同等のケルビン数のバーナーを購入するのが良いね。もちろん、明るさに不満があるなら、車検に合わせてパワーアップ化するのもよいよね。
やっぱり明るさを求めるにはパワーアップ化がはおすすめという事ですね。
現在のところは、そういった方法しかないよね。でも、日本ライティングでは、暗いと悪評高いD4Sを明るくする秘策を考えているんだ。
いやいや、そうじゃなくて、今巷で噂のHIDをLED化するキットの開発だよ。
それは凄いですね。でもHIDよりLEDはまだまだ暗いというイメージがありますが。
HIDからLEDへのコンバージョンキットが出たころは、暗くて元に戻す人がいたほどあまり良い評価はなかったよね。
だから今でもHIDからLEDにコンバージョンすることに抵抗を感じる人も少なくない。
でも、LEDは日進月歩で進化しているから、今では純正HIDを凌ぐ明るさの製品も多いよね。そこで、いよいよ日本ライティングもHIDのLED化キットの開発に取り組んでいるのさ。
LEDのメリットは、ライトを点灯した時の立ち上がりの速さがHIDとは比べ物にならない事や、長寿命でリフレクターなどに悪影響を及ぼさないこと。そして消費電力も少ないからバッテリーにやさしいことだよね。あとは、ドレスアップとしてライトの色も合わせやすいことかな。
たしかにLEDランプには、車幅灯も交換している人もいますし、ハイビームもLEDにしやすいですから色が統一されていいですね。HIDからLEDへのコンバージョンキットが出るのが待ち遠しいですね。
【純正HIDのLED化キットの開発状況まとめ】
純正HID車のヘッドライトをLED化する商品について(D2R・D2S・D4R・D4S)
【進捗状況の報告②】純正HIDのLED化商品
【進捗状況の報告③】純正HIDのLED化商品の構造について提案がありました
でも今は、車検で時間がない人は当然LED登場まで待つことができないから、ここまでで説明した方法で明るさを少しでも取り戻すことだね。
めっちゃくちゃ丁寧に説明してもらってありがとうございます。よく分かりました。現状であれば、島田さんがおっしゃった内容でお客様にお伝えしてみます。
左右同時交換は本当に大事ですね。片側だけ新品にしても左右で明るさが異なればそれは暗いと感じることになりますよね。今回に限らず、お客様にはお伝えしていきます。
今日もありがとうございました。また教えてください!引き続きよろしくお願いします!!
いえいえ。今回は少し話が長くなってしまったけど、お客様にさっきのようなことをお伝えしてみてね!クルマの現状を知り、何がお客様のニーズに合致するかを見極めていってね!またね~~
現在、商品化に向けて取り掛かっていること
あまり多くのメーカーで発売されてはいませんが、純正HIDをLED化する商品が話題になっています。ただ、純正HIDをパワーアップするHIDキットよりも暗いのが現状です。
そこで、日本ライティングでは実用性のあるLED化キットの製品化に向けて取り組んでいます。こちらが商品開発の様子となりますので、興味がありましたら御覧ください。
純正HID車のヘッドライトをLED化する商品について(D2R・D2S・D4R・D4S)
【進捗状況の報告②】純正HIDのLED化商品
【進捗状況の報告③】純正HIDのLED化商品の構造について提案がありました