こんにちは。
ガラスコーティング剤の独自ブランド(ゼウスクリア)を展開する日本ライティングの内藤です。
今回はコーティングの王道、撥水コーティングについて解説したいと思います。
コーティングと言えば撥水というイメージですよね。しかし、撥水コーティングには長所もありますが短所もあります。
今回は従来の撥水コーティングの仕組みなどについて解説しみたいと思います。(今はもっと違う仕組みで行っていますが、それはまた後日解説します)
きちんと理解して施工すれば、より快適で楽しいカーライフを送れると思いますので、ぜひ知っていただければと思います。
目次
撥水コーティングとは、文字通り水を弾くコーティングのことです。
以前解説した親水コーティングとの対比で考えれば、親水コーティングは水に「馴染みやすい」コーティングで、撥水コーティングは水に「馴染みにくい」コーティングと言えるでしょう。
学術的な定義はありませんが、一般的に水の接触角が90°以上のものを撥水コーティングと呼ぶことが多く150°を超えたものを超撥水呼ぶことが多いです。
撥水コーティングが施工された車に水をかけると、水は濡れ広がらずに玉のように弾かれます。水をかけているのに「濡れない」ので、とても不思議が味わえると思います。
撥水コーテインングには、
という3つの利点があります。
撥水コーティング上では水が玉のように弾かれるため、水滴が転がり落ちる際に表面に付着したチリなどの汚れも洗い落としてくれます。
これにより洗車の回数を減らすことにも繋がります。また、水を弾いてくれるので、②に記載のとおり洗車時の拭き取り作業がとても簡単です。
車体に細かい水玉が付着していても、ホースで太い水流をかけてあげると水がまとまって地面に落ちてくれるので、場所によっては拭く必要すら無くなるのです。
洗車の中でも水の拭き取りは重労働ですから、これは大きいです。
撥水効果が落ちてくると水を弾かなくなってくるので、目視で簡単にメンテナンス時期が分かるのも、初心者にとっては嬉しい点です。
一方で撥水コーティングにも欠点はあります。
水が玉のように弾かれるのは良いですが、もしそれが転がり落ちないまま蒸発した場合、水の中に含まれるミネラル分が析出してボディーに固着してしまいます(ウォータースポットと呼びます)。
いわゆる水アカ汚れです。特に濃色車ではウォータースポットが目立つので、雨が降ったら蒸発してしまう前に水滴を落とす必要があります。
また、サイドミラーに撥水コーティングを施工してしまうとミラーに水滴が発生し、その大きさがミラーに映る人や車の大きさに近いので、逆に視認性が悪くなってしまいます。
サイドミラーには水滴が発生しない親水コーティングが適していると言えるでしょう。
なぜ水が玉のようになるのでしょうか?実は、水はもともと丸くなる性質を持っています。
宇宙飛行士が無重力空間で水をストローから押し出すと、その水が球状になる動画を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
これは、水分子が「極性」をもっているため、プラスとマイナスで自ら引きつけあっているためです。これが表面張力の正体です。
親水コーティングは表面に水を濡れ広がらせるためにヒドロキシ基(OH基)などの極性が高い材料を使い、水を表面に「引き付ける」ことで濡れ広がらせていたわけですが、撥水コーティングでは真逆の事をやっています。
つまり、水を「引きつけない」材料を使用することで、水が仕方なく自ら丸くなるようにしているのです。
代表的なものとしては、シリコーン系材料とフッ素系材料が挙げられ、実際に市場で出回っている商品はこのどちらかです。
コーティング商品や記事の中で、「超撥水」という言葉を見た人も多いのではないでしょうか?ハスの葉の上で水がコロコロと玉のように弾かれる現象が代表的ですね。
この時の水の接触角は撥水コーティングの理論的な上限値である120°をゆうに超えており、水はほとんど球状になっています。
なぜここまで高い接触角を実現できるかというと、撥水の仕組みが全く異なるためです。
超撥水コーティングの表面には無数の凹凸があり、凸部分が水を点で支え、凹部分にトラップされた空気の圧力で水を押し上げることで、水が表面に引き付けられないようにしています。
しかし、超撥水表面の凹凸構造は脆く、布で拭くなどの外力を与えると凹凸構造が壊れて、撥水効果は失われてしまいます。
また、凹凸構造のためにコーティング膜には艶が出ず、マットな見た目になったり、光の干渉によって虹色に見えるなど、美観の面でも問題があります。
超撥水コーティングは自動車メーカーでも検討されており、デモ動画が公開されています。
この動画において、白い車の半分に超撥水コーティングが施されており全く汚れが付着しないので手品のように見えます。
白い車は汚れの付着具合が比較しやすいですが、白い車を使っているのにはもう一つ理由があり、艶がないという欠点を目立たなくするためでもあるのです。
動画をよく見ると、超撥水コーティングが施された車体には艶が無い事がわかると思います。
もし車が黒などの濃色車だったら、超撥水膜が車体に乗っているのが目立ってしまう事でしょう。
超撥水がコーティング製品として市販化された例はごくわずかですが、フロントガラス用コーティングの製品には今まで困難だった超撥水を手軽に実現できる商品もございます。
この製品には石油系溶剤とシリカが含まれており、このシリカが膜表面に並ぶことで凹凸構造を生み出し、超撥水を実現しています。
しかし、膜が非常に脆く、雨粒が当たると少しずつ凹凸構造が壊れていくため、寿命は8日〜数日と短いです。
また、前述の通り膜が光の干渉によって虹色に見えてしまうので、まだまだマニア向けの製品と言えるでしょう。
このように、真の意味で超撥水を実用化した商品はまだまだ少ないのが現状です。
今回はコーティング製品でも最もポピュラーな撥水コーティングについて解説しました。
冒頭でもお伝えしましたが、日本ライティングでは今回お伝えした従来の仕組みとは異なる最新の方法で撥水を再現しております。
また、現在では様々な問題のある超撥水・超々撥水の実用化に向けて日々研究を行っていますので、また時期がきましたらこの記事に追記させていただきます。